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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第228話 白(ブラン)ファミーユの真実

 ジャクリーヌが、頭の中で男を問い詰める。

『礼を言うのなら、我々の味方のはず。貴様は、味方なのか?』


『味方ではない』

『なら、馬鹿なことを言うな。(ブラン)ファミーユは、魔王(サタン)側に寝返って、我々の討伐を妨害してきた。貴様が我々の敵なら、(ブラン)ファミーユは貴様の味方。だから、礼を言われる筋合いはない』


『ほほう。寝返ったと、本当に信じていたのか』

『どういう意味だ!? それより、語りかける貴様は何者だ!? そこのドラゴンか!?』


『左様。少し前までは、オーギュスト=エマニュエル・ドゥ・ガロアを通じて、お前らを監視していたがな』

『何だと!? ガロアはどこにいる!?』


『用済みなので、消えてもらった。ブルバキもな。これで(ブラン)ファミーユは、全員討伐されたことになる』

『彼らは寝返ったのではないのか!? どういうことだ!? 説明しろ!』


『疑わないところを見ると、完全に罠に掛かったな。愉快愉快。結論から言うと、お前らに昔の仲間と同士討ちをさせるため、(ブラン)ファミーユに術を掛けただけ。四年前のように、また貴様らと(ブラン)ファミーユとで討伐隊を編成されると困るからな』

『何だと!?』


『金に困っていた奴らは、フランク帝国皇帝から無理に魔王討伐を請け負ったが、お前ともう組みたくないと思っていた。それでは当然できるはずがなく、ローテンシュタイン帝国のトールという少年をそそのかして、魔王討伐のために招聘した。つまり、丸投げして、金をせしめようとした。絶対にやらせるため、違約金をちらつかせただろう? そこで、そいつらに術を掛けて、魔王(サタン)を守る役を担ってもらったのだ』

『つまり、今まで倒してきた相手は――』


『そうよ。味方よ。最初から、寝返ってなどいない。そう思わせただけ。奴らもあの世で悔しがっているだろうよ』

『ちょっと待て! あの世とは、どういうことだ!?』


『奴らに術を掛けたとき、戦いに失敗したら消える、という条件をつけた。だから、必死になって戦っただろう?』

『!!』


『さあ、取り返しが付かない自分の過ちに後悔せよ、同士討ちに勝利した者達よ』

『……』


 放心状態になったジャクリーヌは、黄金の床に両膝を突く。

 右手から剣が滑り落ち、背中は丸まり、両手は床に。

 黄金をバックに、ぼんやりと映る上半身が、視界を埋める。

 彼女は耳鳴りに襲われ、心にぽっかりと大きな穴が開いた。

 眼瞼を伝う涙は、たちまち大粒になって止め処なくこぼれ落ち、床に映る自分の顔を濡らしていく。


 そうか。


 彼らは味方だったのか。


 魔王(サタン)に利用されただけなのだ。


 フランソアも、エミールも、マリアンヌも。

 自分を『姉さん』と呼んで頼りにしてくれていたクロエ、カトリーヌ、セシル、マノン、ジャックも。自分にだけ(なつ)いていた、気難しいクリスティーヌも。


 敵に寝返ったと思ってしまい、味方全員をこの世から消してしまった。


 四年前は、五人を失った。

 今度は、九人を失った。

 しかも、自分達が手に掛けたのだ。


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