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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第218話 魔法のコピーアンドペースト

 とその時、エミールの左肩にボウッと白い煙が立ったかと思うと、白いフクロウが現れた。

『それは人間の順番。ファミーユの序列としては、三位の俺の下。序列四位だ』

 全員の頭の中に、低い男の声が鳴り響いた。

 もちろん、白フクロウのガロアの声である。


 エミールが頭の中で反論する。

『フランソア未公認の序列など、意味がない』

『何だと!? 貴様はコピーしか能がないくせに、よく二位を主張していられるな』


『それより、この謁見の間の鍵を、例の水槽に隠せ』

『ちっ。フクロウ使いが荒いぜ。そんなものを、うかうか持ち歩くな』


 白フクロウのガロアは、エミールが内ポケットから取り出した大きな銀色の鍵を足でつかむと、鍵ごとフッと消えた。

 軍用ゴーグルを着用したヒルデガルトは、その鍵の形を見逃さなかった。


 ジャクリーヌは、剣で(ブフ)の構えを取り、鋭い眼光と切っ先をエミールの顔へ向ける。

「無駄な抵抗はやめろ。大人しく引き下がれ。そして、あたし達の後ろの扉を開けろ」

 すると、エミールは、両手をひらひらと振った。

「姉さん。その物騒な構えはやめましょう。僕の技をご存じですよね?」


「当然。人の魔法をそっくりコピーするんだろ? まだその技一本で食っているんだ」

「そうですよ。いけないですか? 四年前の姉さんは、この技を褒めてくれたのに。急に、言い方まで冷たくなりましたね」


「敵に易々と寝返る奴が何を言う。それより、謁見の間の鍵って何だ? なぜそんなものを持っている?」

「謁見の間というくらいですから、魔王(サタン)様の部屋ですよ。僕はその鍵当番。まさか、こんなに早く姉さん達が来ると思いませんでしたから、うっかり持ち歩いてしまいましたが」


「と言うことは、魔王(サタン)はそこにいる?」

「ええ。フランソアとお茶を飲んでいるはずです」


「のんきだな」

「当然です。姉さん達は、僕に負けるのですから――」


 エミールはそう言うと、右手の中からジャクリーヌが持つ剣と瓜二つな剣を出現させた。

 そして、彼女とそっくりな剣の構えを取る。

 0.5秒の間合いの後――。


「「稲妻(エクレール)!!」」


 二人は、ほぼ同時に魔法名を叫ぶ。

 しかし、紙一重、エミールが早かった。

 ジャクリーヌの剣は、稲妻の直撃を受けて後方に吹き飛び、彼女は痺れる手を振った。


 すかさず、マリー=ルイーゼが炎を纏った剣を振り上げて、エミールに飛びかかった。

 しかし、彼は瞬時にジャクリーヌの剣を引っ込め、マリー=ルイーゼの剣とそっくりの剣を右手から出現させた。

 マリー=ルイーゼが振り下ろした剣は、エミールの剣によって、遠くへ弾き飛ばされた。


 次に飛びかかったシャルロッテは、渾身の力を込めて日本刀を振り下ろす。

 しかし、彼は炎を纏った剣を瞬時に日本刀と交換し、これを防御。

 シャルロッテの日本刀も同じ運命をたどり、床に金属音を立てて転がった。


 今度は、イヴォンヌが魔法の構えを取った。

 だが、まるで鏡のように、エミールもイヴォンヌと同じ構えを取る。


「「巨大な(マキシマル)つらら(アイスシュペーア)!」」


 二人は、ほぼ同時に魔法名を叫ぶ。

 これも、紙一重、エミールが早かった。

 イヴォンヌは、つららも魔方陣も粉々に破壊される。

 そして、後方へ飛ばされて、臀部をしこたま床に叩きつけた。


「無駄無駄」

 エミールは、顔の前で、立てた人差し指をメトロノームのように揺らす。

「君達の魔法は、すべてコピーさせてもらった。それをペーストするだけで勝てるんだよ。さあ、どうする?」


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