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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第213話 ガルネは燃えている

 さすがのジャクリーヌも、その小さな黒い影には肝を冷やした。

 音もなく着地した影の正体は、黒猫マックスだった。


 なぜここに?と緊張する彼女は、さらに肝をつぶすことになる。

 今度は、バタバタと音を立てて、長身の男が勢いよく飛び出してきたのだ。

 その男は止まろうとしたが、勢いが付いていて止まることができない。

 彼は、大股で2、3歩進むうちに何かに蹴躓き、地面へ壮大にダイブした。


 黒猫マックスがギョッとして振り返り、「おいおい、大丈夫かよ」と声を掛ける。

 スライディングして地面で万歳の姿勢になった男は、ボサボサの髪を乗せた泥だらけのいかつい顔を、ゆっくり上げる。

「やーねぇ、これが大丈夫なわけないじゃないの」

 この声は、ポアソン魔法組合(ギルド)のマスター、ジャン=ジャック・ポアソンである。

 彼は、そばにいた連中が失笑するので睨み返しながら、ヨロヨロと立ち上がった。

 そして、「あんたら、ジャクリーヌ・ピカールを知らない?」とキョロキョロする。


 先にジャクリーヌを見つけたのは、黒猫マックスだった。

 直ぐさま、彼女の足下へ駆け寄り、火急の知らせを告げる。

「おい! 大変だ! 町が燃えているぞ!」

「何だって!?」

 彼女は、頭から四肢から、血がスーッと音を立てて引いていくような感じがした。

「そうよ、あんた! 魔物の大群が押し寄せてきたの!」

 ジャン=ジャックが、両手を振りながら彼女に迫った。


 二人の報告の真偽を確認するため、ジャクリーヌは彼らが通ってきた横穴に入り、坂道を駆け上がる。

 そして、地上の光が差し込む穴を見上げ、立てかけてあった梯子を急いで登った。

 墓穴から顔を出すと、彼女の目に飛び込んできたのは、遠方でいくつも立ち上る黒煙であった。


「ね? 燃えているでしょう?」

 彼女の足下から、同意を求めるジャン=ジャックの声がした。

「……」

 彼女は、無言で首を横に振った。

 もちろん、信じられない、という意味で。


 魔王討伐は、いよいよ、戦争の様相を呈してきたのだ。


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