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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第210話 鋼鉄の人形を斬る

 ジャクリーヌ達は十九人中、二人は負傷、三人は治療中。

 動けるのは十四人。

 そこへ五十体以上の赤いオートマタが襲いかかる。

 一人当たり三体あるいは四体倒す計算だ。


 ジャクリーヌ達は、戦いの開始早々、重大な問題に直面した。

 オートマタの全身が鋼鉄でできているらしく、斬りつけた剣は、カーンと音を立てて跳ね返る。

 へこむことすらしない。

 唯一、トールの長剣だけが、この鋼鉄を斬ることができた。

 魔法で応戦も考えたが、相手が素速いため、構える時間がない。


 ジャクリーヌは、先ほどのジジの例を思い出して、試しにオートマタの首を()ねてみた。

 すると、案の定、簡単に首が飛ぶ。

 首を失ったオートマタは、ガクッと膝を折って倒れ込んだ。


 オートマタのウイークポイントが見つかった。


 しかし、敵も然る者、なかなか首を斬らせてくれない。

 そこを狙うことにこだわると、剣の位置が上になり、今度は自分のボディの守りがおろそかになる。

 オートマタは、隙を見せたところを狙うようにプログラムされているらしく、腹部ががら空きになると、そこに剣を向けてきた。


 さらに、計算違いがあった。

 イヴォンヌとイゾルデは、そもそも専用の刀剣がない。

 それで、イヴォンヌはシャルロッテの日本刀を、イゾルデはマリー=ルイーゼの燃える剣を借用したが、主が違うためか、刀剣が持ち主の思うように動かないのだ。

 二人とも、敵の剣の猛攻を、無我夢中で刀剣を振り回して防ぐのみ。


 こうなると、敵をまともに倒せるのは、トールとジャクリーヌしかいなくなった。

 それ以外のメンバーは、オートマタの剣の勢いに押されている。

 なので、包囲網がジワジワと(せば)まっていく。


 トールは、仲間が一方的に押されている現状を打破するため、自分の動きを加速することにした。

 彼は頭の中で、長剣へ語りかける。


『一気に加速して敵を斬るから、力を貸して! できるよね!?』

『御意』


 その時、柄を握る彼の手に、ジーンと剣の気迫のようなものが伝わってきた。

 全身に溢れるほど、力が漲ってくる。

 彼は上段の構えになって、オートマタを連続して斬ることをイメージし、雄叫びを上げた。


「うおおおおおおおおおおっ!!」


 目にもとまらぬ速さで振り下ろされる長剣。

 その軌跡が描く、罰点と十字。

 一画で一体が、長剣に捕らえられる。

 確実に。時を刻むように。

 たちまち、いびつな楕円形の周上に、赤いオートマタ達は残骸をさらしていく。


 鋼鉄の塊を、鉛より柔らかい金属であるかのように斬る長剣は、全く刃こぼれがしない。

 その驚異的な耐久力。


 間断なく続いた剣戟も、トールが最後のオートマタを脳天から一刀両断したことで、終わりを告げた。


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