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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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203/369

第203話 劫火に包まれた迷宮

 マリー=ルイーゼは、ジャクリーヌが自分の後ろに下がって、全員が伏せたことを確認すると、右足を前にして腰を低くした。

 そして、両腕を目一杯伸ばして、手のひらを前に向ける。


(ヘレン)フォイエル!!」


 彼女が魔法名を高らかに叫ぶと、直径2メートルもある深紅の幾何学模様と古代文字の魔方陣が現れた。

 そして、魔方陣と同じ太さの火柱が、重低音を伴って緑の壁に噴射された。

 この世のものとは思えないほど赤々と燃える炎が、壁を舐める。


 猛火を浴びた壁は、メラメラと燃え始めた。

 その燃える音の中から、木々が悲鳴を上げているかのような声がする。


 彼女はさらに力を込めて、右に左に火柱を向け、次々と壁を焼き尽くす。

 緑が燃える。

 まるで、森林火災を目の当たりにしているようだ。


 壁が焼け落ちると、奥の方にある迷宮の壁が見えてきたが、それも焼き払われた。

 ゴーレムの姿も現れた。

 背丈は4メートルほど。

 奴らは、炎の中を右往左往している。


 マリー=ルイーゼの放つ火柱は、3分間続いた。

 この火炎地獄で、迷宮のほとんどが焼け落ちた。

 彼女は、力尽きて、膝を折る。

 ジャクリーヌは、彼女を支え、「水薬(ポション)を5本!」と叫ぶ。

 イヴォンヌは、背中の袋から水薬(ポション)を取り出してジャクリーヌに手渡した。


 ジャクリーヌがマリー=ルイーゼを介抱していると、ゴーレムがこちらに向かってドスンドスンと近寄ってきた。

 三体いる。

 アンリは、マルセルの後ろで、震えながら言う。

「確か、マノン・ドゥ・ルベーグのゴーレムは、斬っても再生するし、叩き壊しても再生するよな」

「ああ。その通り。ってことは――」

 マルセルは、アンリを振り返った。


「ってことは?」

「ゴーレムのご主人を探し出して、叩くしかないだろ!? アンリ、オデット、ついて来な!」


 マルセルは、アンリとオデットの手を取り、立ち上がった。

「おいおい、マルセル! 当てはあるのかよ?」

「なーに。マノンの奴がゴーレムを操るときは、必ず、近くにいるって! いいから、あたいを援護しな!」

 マルセルは、雄叫びを上げながら、三体いるうちの真ん中のゴーレムに向かって突進する。

 アンリ、オデットも、遅れまいと彼女を追いかけた。


 ゴーレムは、マルセル達が突進してくるのを見て、右腕を大きく振り上げる。

 しかし、マルセルはそれに臆することなく、ゴーレムの股下をスライディングした。

 オデット、アンリも真似して彼女に続く。

 ゴーレムの拳は、アンリが通り過ぎた直後に振り下ろされ、床が大きく揺れた。


 マルセルは、スライディングの姿勢からヒョイと立ち上がる。

「ほら、いたぜ!」

 彼女は、焼け落ちた壁の陰に人が隠れるのを見つけ、猛追した。


 壁の後ろでは、杖を持ったマノン・ドゥ・ルベーグと、同じく杖を持ったセシル・ドゥ・エルミートが待ち受けていた。

 彼女達は杖で必死に防戦するも、魔術師(マジシャン)オデットが魔法で強化したアンリとマルセルに最後は倒され、二人の杖は折られた。

 すると、ゴーレムも壁の残骸も煙のように消え、床に倒れていた二人も消えた。


 マルセルが床に剣を突き立てて、アンリに詰め寄る。

「アンリ。お前、あいつを本当に斬っていないよな?」

 アンリは、剣を肩に乗せながら答える。

「マルセルだって、斬っていないだろ?」


「ああ、気絶させただけ」

「俺も同じ。あの杖さえ折ればいいから」


「なのに、なんで消えるんだ?」

「知らねえぜ。また復活しないよな?」


 とその時、彼らの近くで、扉がギギギギギーッときしみながら開いた。

 同時に、大量の光が放出された。

 見ると、宙に浮いた扉が開き、その中が目映いばかりの黄金色に輝いている。


「マスター。どうしやす? 扉だけが宙に浮いて、なんかおかしくないですかい?」

 アンリが後ろを向いて呼びかけると、ジャクリーヌ達がゾロゾロと近づいてきた。


「招きに応じるしかないだろ?」

 ジャクリーヌは、歩みを止めずに扉の中へ入っていった。


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