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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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200/369

第200話 魔弾のスナイパー

束縛(ゲブントゥハイト)!!」


 マリー=ルイーゼが魔法名を叫ぶと、彼女がたぐり寄せたリボンは、マグマで満ちた穴へ落下するトールめがけて、超高速度で伸びていく。

 その先端は、彼の腹の周りを3周ほど回転して、固くギュッと締め付ける。


 と同時に、彼女は杖を勢いよく振り上げた。

 マグマに後50センチメートルにまで迫った体が、リボンとともに一気に空中へ跳ね上がった。

 そして、彼は放物線を描いて、彼女の後ろへ落下。

 まるで鰹の一本釣りだが、命に関わる事態なので、過程での格好など気にしていられない。


 地面に転がったトールは、叩きつけられて「痛ってー!」とか言うかと思いきや、筋肉はピクリともしない。

 ヒルデガルトが目の色を変えて駆けつける。

 ジャクリーヌがポアソン魔法組合(ギルド)から引き抜いた、回復魔法が得意なルイーズ=アンジェリーク・クロミエとシルヴェーヌ・ヴェルドロも、自分たちの出番とばかり駆けつける。


「息をしていない!」

 ヒルデガルトは青ざめた。


 と突然、闇の向こうから、男が高笑いしながら、ゆっくりと姿を見せた。

 だらんと下げた両方の手には、銃身の長い拳銃が握られている。

 軽火器を魔法で扱うジャック・ドゥ・カミュだ。

 ジャックは、床に散らばった壁の破片を忌々しそうに蹴りながら、拳銃を構えた。

「ハハハ! 魔王(サタン)様がお作りになった魔弾は、さすが天下一品! 世界最強の男なぞ、たわいもないわ!」


 彼は、勝利に酔い、嗤いながら二挺拳銃を連射する。

 横殴りの雨のような凶弾は、すべてジャクリーヌの前で弾き飛ばされた。

 彼女は、トールが狙撃された直後に防御結界を張っていたのだ。


「ハハハ! 姉さんは、これで一歩も動けない。僕の銃は魔弾が尽きないことはご存じでしょう? さあ、どうしますか? ……おっと、君達も動いてはいけないよ!」

 嗤うジャックは、ジャクリーヌの周辺に向けて銃を乱射する。

 マリー=ルイーゼ達は、素速くジャクリーヌの背後に隠れた。

 ようやく黄色の人型魔物を殲滅し終えた魔法組合(ギルド)のメンバーは、流れ弾に当たらないよう地面に伏せた。


 舌打ちするジャクリーヌは、地団駄を踏む。

「奴は本当に、魔力が尽きるまで連射する。どうすれば……」


 とその時、彼女の後ろでイゾルデが「私に任せて!」と声を上げた。


絡まるツタ(ユングフェルンレーベ)!」


 彼女は魔法名を叫びながら、右手を高く上げ、左膝をついて、左手で地面を勢いよく叩いた。

 すると、彼女の左横に緑色に輝く幾何学模様と古代文字の魔方陣が現れた。

 そして、そこから10本以上の太いツタが、シュルシュルと風を切る音を立ててジャックめがけて伸びていく。


 彼は仰天して、ツタめがけて銃を連射した。

 弾丸が命中した2、3本は途中で折れたが、残りのツタは、あっという間に彼の首、両腕、胸、胴、両足をぐるぐる巻きにした。

「うぬぬ! ……は、離せ!」

 彼は苦悶の表情を浮かべ、抜け出ようと、もがきにもがく。

 しかし、鉄の鎖のように硬いツタは、完全に彼の抵抗を封じた。

 もがけばもがくほど、ツタが食い込んでいく。

 彼の顔面は、毛細血管がはち切れそうなほど血液が充満し、真っ赤に染まった。


 だが、イゾルデは、トールを凶弾で倒した恨みを晴らしたい一心で、さらに力強く地面を叩く。

 すると、魔方陣から追加のツタ10数本が、飢えた獣のようにジャックへ飛びかかった。

 それらは、ツタの上からさらに固く巻き付き、ギリギリと音を立てて締め上げていく。

「ぐ、……ぐあっ!!」

 ツタの内側で骨が折れる鈍い音が連続したかと思うと、ジャックは膝を折り、うつ伏せになって倒れた。

 数秒後、彼は落とした二挺の拳銃とともに、煙のように消え去った。


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