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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第199話 敵に背を向けてはいけない

 宙に浮いたトールは、観念した。

 このまま後ろに飛ばされたら、マグマの海へ真っ逆さまだからだ。


 しかし、彼の背中は、何かに叩きつけられた。

 それは、まだ床に残って立っていた壁の残骸。

 これこそ、九死に一生を得る、だ。


 突風は、残っていた壁をほとんど吹き飛ばす。

 魔界の扉の外にいたジャクリーヌ達は、余波を食らって、全員が数メートル後ろに吹き飛ばされた。

 そんな中、彼は、即座に反撃を開始。


(ドンナー)(ゴット)!」


 壁の残骸に背中を預けたトールは、いつもの構えも中途半端に、両腕を声の方向へ伸ばして魔法名を叫んだ。

 すると、彼の銀白色の魔方陣から、ジグザグに折れて枝分かれした電光が発射された。


 バリバリバリ!!


 電光の直撃を受けたクリスティーヌは、音を立てて全身が白く光り輝き、火花のような放電が起こった。

 彼女の全身は痙攣したが、倒れた様子はない。

 魔力の充填が不足したまま発射されたので、S級ランクと思われるクリスティーヌを倒すには威力が弱かったようだ。


 彼は中腰になり、両方の手首をくっつけ、手首から先がつぼみが開いて花になった形にした。

 あのトール命名「大バッ波(だいばっは)」の構えだ。

 そして、魔力を急速に充填し、体にひねりを加えてから、思い切って両腕を突き出す。


(ドンナー)(ゴット)!!」


 今度は、銀白色の魔方陣から、強烈な雷が発射された。

 クリスティーヌは、全身が爆発するように光り、激しく痙攣した。

 雷鳴が地底の空間にまで転がる。

 その大音響に、その場にいた全員がおののき、耳を塞いだ。

 まだ全身から放電が見られるクリスティーヌは、糸が切れたマリオネットのように倒れた。

 数秒後、魂が抜けたように転がる彼女は、煙のごとく消え去った。


 トールは立ち上がり、腰に巻いていたリボンを外す。

 そして、マリー=ルイーゼの方に振り返り、ウインクをしながら右手の親指を立てた。

 リボンをたぐり寄せたマリー=ルイーゼは、彼の『やったね!』という爽やかな表情にポッと顔を赤らめ、手を振って応えた。


 とその時、トールの背後で、パンパンパンと連続した銃声が鳴り響く。

 彼は全身がビクッとなって、そのままうつ伏せに、スローモーションで倒れ込んだ。

 その先で彼の落下を待ち受けていたのは、ボコボコと煮え立つマグマだった。


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