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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第196話 自分のコピーが攻めてくる

 魔界の過剰とも思える守りをどのように打ち破るか、ジャクリーヌ達が議論を始めようとしたその時、応援に駆けつけていた魔法組合(ギルド)のメンバーの周囲に異変が起きた。

 地面がボコボコと音を立てて盛り上がり、中から何者かが一斉に這い出てきたのだ。


 手足や胴体は人の形をしているが、顔が人ではない。

 獅子、虎、牛、馬、イノシシ、トカゲ、コウモリ、……。

 あらゆる顔の魔物が、剣を持って立ち上がった。


 その数、五十は下らない。

 奴らは半円状に展開して、魔法組合(ギルド)のメンバーを取り囲み、剣先を向けてジリジリと歩み寄る。

 このまま押されて後ろに下がれば、マグマの海に落下してしまう。


 とその時、シャルロッテが「みんな! しゃがんで!」と叫んだ。

 魔物に取り囲まれた全員が、彼女の指示に従った。

 彼女は左足を前に前傾姿勢を取り、両手を思いっきり前に伸ばして、手のひらを前に突き出す。


無数の(タオゼンデ)彗星たち(コメーテン)!!」


 彼女が魔法名を力強く叫ぶと、彼女の手の先に、直径2メートルもの七色に輝く幾何学模様と古代文字の魔方陣が現れた。

 そして、そこから、魔方陣と同じ直径の光の球が出現した。

 ゆっくりと出てきた光の球は、加速を始めると、すぐさま無数の彗星に分裂。

 その小型の彗星が、魔物達に一斉に襲いかかって爆発する。

 腹に響くような爆裂音が地底の空間にこだまする中、魔物達はことごとく光の粒となり、荒削りの地底の壁を明るく照らしながら消滅した。


 鼓膜が痛くなるような大音響の連続で耳を塞ぐ魔法組合(ギルド)のメンバーは、たった一人の女の子によって魔物の大群が殲滅されたことに驚愕する。

 これが、ジャクリーヌから聞いていた、新しくピカール魔法組合(ギルド)に加わったSS級ランクの実力。

 彼らはそれを目の当たりにして、耳を塞いでいた手を胸の前で打ち合わせた。

 アンリやマルセルは、自分のことのように喜んで、大きく拍手した。

 ジャクリーヌは、アンリから聞いていた魔法を間近で見て、誇張ではなかったと認識を新たにし、手を叩いた。


 しかし、シャルロッテの華麗な攻撃を称えた拍手は、長くは続かない。

 拍手の残響音を打ち消すように、また地面からボコボコと音を立てて魔物が出現した。

 今度は、人型の魔物だ。


 ところが、その魔物を見た魔法組合(ギルド)のメンバーは、パニックになった。

「あっ! あの顔は、俺の顔だ!」

「おい! あっちにお前の顔があるぞ!」

「服まで同じだ!」

 なんと、這い出てきた人型魔物の顔が、今いるメンバーの顔なのだ。

「うわっ! 正面はマスターだ!」

 なんと、ジャクリーヌまでいる。

 冗談みたいだが、トールも、シャルロッテも、アンリまでいるのだ。

 ヒルデガルトの姿を模した魔物など、ゴーグルまでつけている。


 魔物は、標的の人間の顔、背格好、服、装着品まで、完コピして登場したのである。

 奴らは薄笑いを浮かべながら、半円形に布陣する。

 そして、武器を構えて、ジリジリジリと包囲網を狭めてきた。


「しゃがんで!」


 突然、ヒルデガルトが立ち上がり、珍しく大きな声を出した。


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