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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第194話 決戦の朝

 翌朝、トールとマリー=ルイーゼとシャルロッテは、ポー武器店で鍛え上げられた剣を受け取った。

 昨夜、騎士長のジゼル・ジョルダンから「アネモネ・ロワが鍛えた剣は、見た目は何も変わらないけど、敵を斬るときに何倍も力が出て、ゾクゾクする」と聞かされていた。

 確かに受け取ると、何もしていないのではないかといぶかしがるほど、剣に変化がない。


 アネモネ・ロワは、ムッとして吐き捨てるように言う。

「みんなそうやって、ボケーッと剣を眺めるけど、全く生まれ変わっているからな! 代金1000ルゥ・ドゥオールは、三日以内に払ってもらうぞ!」

 トールは、一応「はい」とは答えたが、日本円に換算して1000万円である。

 彼が剣を持つ手は、小刻みに震えた。


 朝8時30分。

 武装したジャクリーヌを先頭に、十九人は足取りも勇ましく、墓場へと向かった。

 よく考えると、墓場へ勇ましくとは滑稽だが、彼らは気にしない。


 もちろん、皆の強化魔法や防御魔法、トールはさらに指輪の装着も抜かりがない。

 水薬(ポション)や、おまけの化粧品等は、イヴォンヌとイゾルデの背中の袋にある。

 今魔物の大群に襲われても、大丈夫なほど準備万端だ。


 親衛隊と騎士団は、早くても夕方到着らしいので、援軍はルテティアとヴェルサイユの仲間のみ。

 総勢およそ五十人が、例の2つの穴から5分で駆けつけることになっている。


 ポアソン魔法組合(ギルド)のマスターであるオカマのジャン=ジャック・ポアソンは、足下を見て契約金額をつり上げるので、ジャクリーヌの方から援軍を断った。

 ただし、万一、魔物に突破されてガルネの町が襲撃されたときは、ポアソン魔法組合(ギルド)が無償で防衛することになった。


 一行は、何の抵抗も受けずに、魔界への扉の前へ到着。

 すでにルテティアとヴェルサイユからの魔法組合(ギルド)の援軍が穴から抜け出ていて、異様な魔界の扉を眺めながら、ガヤガヤと話し合っていた。


 ジャクリーヌは、魔界の扉を背にして一同の前に立った。

 もちろん、あまり近すぎると、後ろの彫像に捕まれるので、十分距離を保つ。

 すでに軍用ゴーグルを装着したヒルデガルトは、扉の右側の装置に近づき、その前でスタンバイした。

 ジャクリーヌはそれを確認すると、正面に向き直り、敵に聞かれても一向にかまわない様子で大声を出す。


「諸君! 今からこの魔界の扉を開いて、中へ突入する! 打ち合わせたとおり、我々十九人は、奥まで入って魔王(サタン)を討つ。それ以外は、扉の外と中とで半々に分かれて、雑魚どもを討ち取ってほしい。そして――」


 とその時、響き渡る彼女の声を遮るように地鳴りが起こり、扉がギギギギギーッと腹に響く音を立てて、真ん中から割れるようにこちら側へ開いた。

 ジャクリーヌは、打ち合わせと違うので、慌ててヒルデガルトの方を見る。

「もうボタンを押したのか!?」

 ヒルデガルトは、ふるふるふると首を左右に振る。

「押してない」


 魔界の扉は、どんどん開いていく。

 すると、開かれてできた中央の隙間から、白い服を着た壮年の紳士が見えてきた。

 彼は、白猫を抱えて立っている。

 (ブラン)ファミーユ代表のフランソアと白猫ブルバキだ。

 彼の背後には、濃い紫色の煙のようなものが、実にゆっくりと渦巻いている。


 ジャクリーヌ以下、全員が極度に緊張しながら、武装して身構えた。

 魔界の最高幹部の出現だからだ。


 扉は、20秒後に完全に開ききり、残響音がこだました。

 ここで、薄笑いを浮かべたフランソアが、音吐朗々とした声を地底の空間に響かせる。


「その雑魚には、我々(ブラン)ファミーユの九人が入っているのかね?」


 すると、白猫ブルバキが舌打ちする。


「二匹もいるぜ。忘れんなよ」



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