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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第191話 三つの扉の謎

 ジャクリーヌは、ちょっとムッとして、くわえたタバコを噛んだ。

 ヒルデガルトは、かまわず言葉を続ける。

「魔力で三つの扉を維持するのは、無理。無駄。無意味。扉が多い分、守りが薄くなる。実は、魔界への扉は、このガルネのみ。だから、防御のために(ブラン)ファミーユがここに集結している。ルテティアとヴェルサイユに、それぞれ魔界の扉があるというのは、偽情報」


 ジャクリーヌは、ヒルデガルトを睨み付け、肺にためていた煙を横向きに吐き出した。

「なぜそう思う?」

 ヒルデガルトは、珍しく能弁に語り始める。

「ゴメンなさい。私、尾行禁止のマスターの命令を無視して、人型の魔物達を尾行したの。すると、全員が宿屋へ行く。そして、ゴーグルは建物の中まで見えるから、夜中も見ていたら、部屋から動かない。つまり、魔界の扉に戻っていない。魔界の扉に戻る人型魔物は、ここのガルネのみ。それに、ジジという女の子は、ヴェルサイユからガルネまでの70キロメートルを、あの穴を通って這ってきたとは思えない。魔力で時空が曲がっているなら可能」


 ジャクリーヌは、頭をかきむしりながら言う。

「と言うことは、ルテティアとヴェルサイユの地下を潜って、魔界の扉を見つけたとしても、ここガルネの地下にいるという訳か?」

「そう」


 部屋の中の空気は凍り付き、ジャクリーヌがくわえるタバコの紫煙だけが揺らいでいる。

 しばらくして、彼女は立ち上がった。

「よし。アンリ、マルセル、オデット! 今からあの穴の先に何があるか、調べてこい!」

「へい!」

 アンリ達三人は、急いで建物の外へ出た。


 一時間後、アンリ達が驚くべき結果を持ち帰ってきた。

 あの穴を五分ほど這っていくと、どこかの修道院の裏山の洞窟に出るが、そこはヴェルサイユだったとのこと。

 それで、魔界の扉の前へ戻り、もう一つ穴がないかと探したら、反対側にも岩陰に隠れた穴があった。

 そこを五分ほど這っていくと、今度はルテティアの教会の地下にある下水道に出たとのこと。


 ジャクリーヌは、腕組みをしながら上を向いた。

「なるほど。魔界の扉は一つ。しかも、ガルネの地下にある。魔力で時空が曲がっていて、ルテティアとヴェルサイユの地下を潜っていくと、5分でガルネに出れるということだな」

 そして、トールの方へ向き直りニヤリと笑う。

「攻撃目標は決まったな。扉の開け方もわかっているし、ヴェルサイユとルテティアの仲間もあの穴を通ってもらえば、ガルネの扉の前に駆けつけてくれる。では、明日決行する。それまで依頼をこなしておけ。あ、ポアソン魔法組合(ギルド)の六人は、明日8時にここに来てくれ。それまでは、自分らの魔法組合(ギルド)の依頼をこなしていてよい」

「「「はい!」」」

 トール達は、壁に貼ってあった依頼の紙から自分に合った依頼を選び、次々と建物を飛び出した。

 いよいよ、明日は決戦だと思うと、彼らはワクワクして仕事も上の空になるほどだった。


 そんなわけで、扉が開けっぱなしにされた。なんとも不用心であるが。


 全員が出払った後、ジャクリーヌは、ルテティアとヴェルサイユの魔法組合(ギルド)に魔界の扉へつながっている道を知らせようと思い立ったが、ここでジジがルテティアに行きたいと言っていたことを思い出した。

 だが彼女は、ジジをつれてルテティアへ出かける前に、三日間放っておいた調理場の様子が気になったので、先にそちらを覗きに行った。


 30分後、彼女はジジがいるはずの三階の部屋へ行ってみたが、ジジはいない。

 黒猫マックスが知っているかと思って探したが、これまたいない。

「おーい、マリー!」

「お呼びかニャー?」

 猫族のマリー=フランソワーズ=ヴィクトワールが、タオルで手を拭きながら廊下に現れた。


「ジジとマックスを知らないか?」

「30分くらい前まで、いたニャー」


「どこへ行った?」

「ジジちゃんが階段を降りていって、その後を猫さんが追いかけていったけどニャ、どこへ行ったかまでは知らないニャー」


 ジャクリーヌは踵を返し、青い顔をして階段を駆け下りた。


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