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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第三章 魔王討伐編

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第181話 ポーションのおまけが強力なアイテム

 イヴォンヌとイゾルデは、まだ道に迷っていた。

 単に通りを一つ間違えただけなのだが、迷路のような裏通りに紛れ込んでしまい、抜けられないでいる。

 イヴォンヌは、不安を紛らわすため、イゾルデに声をかける。

「ねえ。水薬(ポション)って、前世の何かのRPGゲームに出てくるポーションと発音が似ていないかしら?」

「確かに、そうかも」

 イゾルデも不安なので、声を出して気持ちを紛らわした。


「魔力全回復のアイテムかしら?」

「うん、そうじゃない?」


 などと話ながら、二人はようやく店の前にたどり着いた。

 看板には、いかにも怪しげな文字で「べー魔法道具店」と書かれている。

 イヴォンヌが恐る恐る扉を開けると、薄暗い店内は怪しい道具でいっぱいだった。

 二人は入るか入るまいか迷っていると、何かの力に引き込まれ、店内へ転がり込んでしまった。

 扉は、彼女達の背後で、バタンと音を立てて閉まった。


 彼女達は、床にしこたま打った頭を抱えていると、紫のローブを着て、紫のフードをかぶった中年女性が現れた。

 女性は、何も言わずに上から二人を睨んでいる。

 イヴォンヌが、「あのー、ジャクリーヌさんの依頼で、水薬(ポション)をあるだけ買ってこいと言われまして」と用件を伝えると、女性はニコッと笑った。

 そして、店の一番奥まで歩いて行って、壁にもたれながら腕を組み、優しい声で恐ろしいことを口にし始めた。


「いよいよ殺し合いが始まるのね。彼女が水薬(ポション)をあるだけ求めるときは、いつもそう。剣を振り回しながら飲み干して、全回復し、敵の首を()ね続けるのよ、彼女ったら」


 イヴォンヌとイゾルデは、ジャクリーヌがそうやって戦う場面を想像し、身震いした。

 女性は言葉を続ける。

「私は、アンジェリーク・べー。このお店を長いことやっているけど、この辺りじゃ、彼女が一番のお得意様ね。どうせ、『ツケにしろ』って言われてきたのでしょう? なら間違いなく殺し合いね。支払いは、賞金が手に入ってからだから。ちょうどさっき、100本入荷したから、そこにあるのを全部持って行きなさい。しょっていく袋をおまけにつけてあげるから」

 アンジェリークが指さす先には、細長くて濃い青色の小瓶が所狭しと並んでいた。

 よく見ると、上の部分が丸くて、その下がキュッとくびれており、頭と胴体しかない人間のようにも見える。

 その容器を見ていると吸い込まれそうなほど神秘的な色なので、いかにも魔力が全回復する液体が入っていそうだ。


 イヴォンヌとイゾルデが50本ずつ二つの袋に分けて入れて、それを背中にしょった。

 50本もあると、小瓶でもさすがに重い。

 そして、彼女達が挨拶をしようとした途端、アンジェリークが右手のひらを彼女達へ向けた。

「ちょっと待って。いいものをおまけにあげる。彼女に怒られるかもしれないけど、この私が使いなさいと言ってた、って言いなさい。きっと、何かの役に立つわよ」

 そう言ってアンジェリークが、棚の奥からゴソゴソと化粧品やら装飾品を出してきた。


 イゾルデが、「私達、まだ十五なので、化粧はしません」と言ったが、アンジェリークは二人の両手に化粧品と装飾品を手渡した。

 そして、どこか遠くを見ているような目で語り始める。

「四年前、彼女がまだマスターになっていないとき、水薬(ポション)を買い込んで魔王討伐へ出かけたの。でも、備えを魔力と体力の全回復だけに絞ったのが、そもそもの間違いだったのよ。魔王討伐は失敗。今回おまけにあげるものを使えば、きっと役に立つわ」


 それから、イヴォンヌとイゾルデは、アンジェリークからおまけの説明を受けた。

 口紅は、1分間、魔力の限界値を引き上げるもの。

 オーデコロンは、1分間、防御力を高めるもの。

 ファンデーションは、1分間、自分が透明になれるもの。

 アンクレットは、1分間、脚力を引き上げるもの。

 ピアスは、1分間、相手に幻覚を見せるもの。

 ブレスレットは、1分間、瞬発力を上げるもの。

 いずれも、1回限りの効果しかない。


 店の外へ出たイゾルデは、「こんなおまけ、何の役に立つの?」と首をかしげた。

 イヴォンヌも、「なんか、前世の女の子向けRPGゲームに出てきそうなアイテム」と笑った。

 そして、これらをトールに全部つけさせると、とんでもなく最強になりそうだという話になり、二人は大笑いした。


 『最強』に対して笑ったのではなく、『女装したトール』を想像して笑ったのである。


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