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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第一章 異世界転生編

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第16話 神に遣わされた子

 男どもは狭い扉へ殺到し、団子状になって馬小屋へ突入した。


「「「!!!」」」


 真っ先に目に飛び込んだものは、全裸の少年少女と、そばに寄り添う黒猫。


「ゴット!(神よ!)」


 ここの猫族の間では『神に遣わされた子は馬小屋に現れる』という伝説があったので、蜂の巣を突いたような騒ぎになった。


 この後、彼らの滑稽なほどの驚きぶり、狼狽ぶりはご想像にお任せする。


 ただ、伝説では『それらの子供は裸である』とはなっていない。

 追いはぎに遭ってここに投げ込まれた、と考える者がいてもおかしくないのだが、猫族はそこまで考えが及ばなかった。


 女性陣は、興味津々に全裸の少年少女を眺める男どもを、即刻馬小屋の外に閉め出して、家から男性用の服1着、女性用の服3着を持ってくるように命令した。


 やはり、羞恥心は、どの種族でも共通なのだろう。

 たとえ自分達とは異なる種族でも、女性が全裸でいるところを男に見せたくなかったのだ。


 命令された男どもは、銘々の家から適当な衣服を見繕ってきた。

 女性陣は、それらがみなよそ行きの立派なものだったので、また男どもを非難したが、いつまでも裸のままではかわいそうなので、渋々それらをハヤテ達に着せた。

 サイズが合わず少々ダボダボなところもあったが、急場しのぎなので仕方がない。


 女性陣が服を着せ終わると、今度は男どもを呼び寄せ、まだ目を覚まさないハヤテ達を家へ運んでベッドに寝かせるよう指示した。

 結局、少年少女は一名ずつ別々の家に収容された。


 こういう行動を見ていると、この村の女性陣は普段から男どもを尻に敷いているのが想像できる。


 ここの猫族が、突然の珍客に対して寛容だったことが幸いしたようだ。

 もしこれが臆病な種族であったならば、猜疑心や恐怖心から、危害を加えられていたかもしれないのだ。


 なお、黒猫が少年少女の頬をなめていたことが村人の警戒心を緩和するのに役立っていたことも大きい。とっさに判断したニャン太郎のお手柄である。


 ただし、そうはいっても、出現場所が壁に囲まれた馬小屋の中だったからよかったようなものの、畑のど真ん中だったら、寛容な村人といえども恐怖に怯え、どう振る舞ったかわからない。


 こういう形の転生は、ハイリスクでもあるのだ。


 ニャン太郎もホッとしながら、ハヤテの傍らで丸くなった。

 もちろん、一匹では寂しいからという理由もあったが、彼なりに次なる手段を検討中で、目が覚めたハヤテにすぐ相談するつもりだったのだ。


「さて、ここから全員で脱出するには……」


 それには、まず全員を起こさなければいけない。

 どうやって?


 それだけではない。ここはどこで、これからどこへ行けば良いのか、調べる必要もある。

 地図も手に入れる必要があるだろう。

 どうやって?


 そんなことが、子猫一匹の力でできるのだろうか?


 彼の考えは、頭の中で否応なしにループするのであった。


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