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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

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第158話 私闘の果て

 トールがグスタフを倒したことによって、入学式の日にフェリクスから始まった私闘は、トールの圧勝に終わった。


 序列二位も一位も、肝心のトールも倒れてしまったので、校長以下教職員全員が判定を下すことになった。

 しかし、12(ツヴェルフ)ファミリーの息が掛かった教職員のこと、彼らが何かと理由をこじつける、さらには不正を働く恐れがある。


 そこで、年少組四年生のアーデルハイト・ゲルンシュタインの発案により、非常勤講師であるクラウスが「トールの勝利」という裁定結果の文章を直ぐさま作成し、そこにローテンシュタイン帝国魔法学校校長コルネリウス・グラートバッハ名による署名と血判を入れさせた。

 それが制限時刻、すなわち、学食(メンザ)準備完了のチャイムが鳴る5分前。

 そして、校庭に集まった生徒達の前でグラートバッハ校長が読み上げ、トールの勝利が全員の拍手を持って受け容れられた。

 読み終わると同時に、チャイムが鳴り響いた。


 教職員の城の治療室で昏睡状態になったトールは、3日間目が覚めなかった。

 彼のベッドには、マリー=ルイーゼ、ヒルデガルト、イヴォンヌ、イゾルデが付き添った。

 シャルロッテは2日目から顔を見せたが、「知らない男だけど、なぜか涙が出てくる」と言って、すぐに立ち去った。


 4日目に目が覚めたトールは、マリー=ルイーゼ達四人の暖かい祝福を受けた。

 ここで、イヴォンヌが連れてきたシャルロッテと面会することになった。

 トールは彼女の顔を見て首をかしげる。

「ゴメン。誰だっけ?」

「シャルロッテよ。私はあなたのことを知らないのに、あなたの方から『知っている』って言ってきたんだけど」


「そうなの? もう思い出せないんだ。本当にゴメン」

「いいの。人違いだったのよね? 昔、似た人がいたとか」


「君、泣いているの?」

「別に。あなたも、涙が見えるわよ」


 そんな会話に、二人の過去を知るマリー=ルイーゼ達四人は涙した。

 それは、トールが最強の敵に勝利するため、おそらく精霊の力を借り、何を対価にしたのかがわかっていたからだ。


   ◆◆◆


 年少組一年生の城は、教職員総出の魔法でも、修復に丸2日かかった。

 3日目から年少組一年の授業が再開されたが、生徒達は顔を合わせる度に、挨拶代わりにトールの戦いぶりを話題にするほどで、授業もまともにできない状態だった。

 言うまでもないことだが、12(ツヴェルフ)ファミリーの異世界転生組への嫌がらせは、全くなくなった。

 再試合の申し込みはもちろん、挑発も綺麗さっぱりなくなった。

 ヒーラーが五人がかりで治療し、1週間後に退院できるほどまで回復したグスタフですら、トールという名前を聞いただけで真っ青になって毛布をかぶり、ガクガクと震え上がったほどだ。


 おかげで、トールの退院を待つ彼女達は、まともな学校生活が送れるようになった。


 こうして、平穏な日々が続いていたが、11日目にトールが復帰すると、それを待っていたかのように二つの勢力が動き出した。

 それはもちろん、イヴォンヌとイゾルデである。


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