表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/369

第141話 緊急召還の代償

 マリー=ルイーゼは、右手を高く上げたまま、天に向かって叫ぶ。


「来たれ! 偉大なる火の精霊よ!」


 すると、彼女の足下に、直径3メートルほどの金色に輝く光の輪が現れた。

 それが上に向かってゆっくりと、筒状に伸びていく。

 まるで、彼女が光の筒の中に飲み込まれていくようだ。

 光の筒は、彼女の姿を隠しても伸び続け、5メートルくらいの高さになって止まった。

 そして、その筒はさらに輝きを増していく。

 あまりのまぶしさに誰も目を開けていられなくなった。


 まぶた越しに光が見えなくなったので、皆は目を開けた。

 すると、マリー=ルイーゼの目の前に、恐ろしく背の高い女性が現れた。

 彼女は金髪灼眼で、白いドレスを纏っている。

 以前、メビウスの研究所の部屋へ乱入してきた、あの火の精霊、フェニクスだ。


 フェニクスは、何やら不機嫌そうな顔でマリー=ルイーゼを睨み付け、あからさまに舌打ちをする。

「ちっ! んだよ! こっちは取り込み中だったのに、強制的に召還しやがって!」

「ご、ごめんなさい。緊急事態なの――」


「そんなの、わかってる! だから強制召還したんだろ? で、仕方なく来てやったんだが、これのどこが緊急事態なんだよ!? 見たところ、戦いの真っ最中って感じでもないし! 暇つぶしに、見世物として呼び出したんなら、ぶっ飛ばすからな!」

「ち、違います! あの男が、全ての魔法を吸収してしまうので、勝てません」


「だから、なんだよ?」

「え? いや、それが、その、あの、男にどうしても勝たないといけないのです」


「あいつに勝ちたいのか? お前が、か?」

「みんなが、です」


「みんな? 嘘言え! あのトールって子が、だろ? 勝たせたいんだろ?」

「えっ!? えっ!? えっ!?」


「お前の気持ちくらい、わかっているよ。照れてちゃって、意外と可愛いな。……ま、それはそうと、あの黒シャツの不細工な男に勝ちたいのか?」

「はい」


「お前、馬鹿か!? お前が今持っている力をガンガンぶつけりゃいいじゃんか!」

「ですから、ぶつけた魔法が全部吸収されてしまうので――」


「ごちゃごちゃ、うるせえんだよ! 言い訳しないでさっさとやれ!」

「やり方がわかりません……」


「おいおい……、だったら、最初からそう言え!!」

「は、はい!」


「しゃーない。いいだろう。お前にとっておきの魔法を授ける」

「ありがとうございます!」


「で、緊急召還した場合、対価をもらうことになっているのは教えたよな?」

「はい」


「覚悟の上だよな!?」

「はい!」


「じゃあ、勝利の対価はお前の寿命3年。いいな?」

「えええっ!?」


 実は、マリー=ルイーゼは精霊との契約時に、緊急召還した場合は対価を求められることを聞かされていた。

 しかし、それが何か、フェニクスは教えてくれなかった。

 ただ、他の精霊もそうなので、フェニクスだけ意地悪ではないのだが。


 実際に召還してみてわかった対価の中身。

 3年の寿命と引き換えの勝利。

 高い対価である。

 彼女は、大いに迷った。


(それに見合う価値があるかも知れない。

 でも、自分では決められない。

 背中の一押しがほしい)


「決まったか?」

 逡巡するマリー=ルイーゼは、フェニクスがかけてきた言葉にハッとした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=229234444&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ