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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

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第135話 剣で舞う麗人

 エレオノーレの剣捌きは、正に(つるぎ)の舞。

 メチャクチャに振り回していたアルフォンス・ミュラーのアバターとは、比較にならない。

 すべての動きが優雅。華麗。そして、豪快。

 トールの長剣は、1メートル半もあるリーチを生かして何とか防戦しているが、一方的な状況を打破できないでいる。

 剣圧で吹き飛ばそうにも、彼女が常に接近戦へ持ち込むので、奥の手が封じられる。

 さすがに彼の剣は折れることはなかったが、金属の摩擦による火花が連続し、そろそろ刃こぼれも始まっているはずだ。


 すると、彼女は、数歩後ろに下がって、右手の指でカモンという仕草をする。

「ほら。そっちから、かかってきなよ」

「……」

 トールは、罠だと思って、動かない。

「守りに徹して、体力の温存かな?」

「……」

 彼は図星を突かれたが、沈黙を貫く。

 彼女に全力をぶつけるわけには行かないのだ。


「じゃあ、こうしよう。どうもこの穴の底では、足場が悪い。観客も、ほら、上を見てごらん。あんな姿勢の見物じゃ気の毒だろう? 穴から出ないか?」

 トールは、チラリと上を見ると、いつの間にか、穴の縁に鈴なりになって生徒達が覗き込んでいた。

 かなりの数である。

 年少組一年生と二年生以外に三年生以上の野次馬が、これ幸いと授業を抜け出して集まってきたようだ。


 彼が乗ってこないので、エレオノーレは、さらに数メートル後ろへ下がった。

「ほら。ここまで下がったよ。その剣を振り下ろしてみたら? 凄い剣圧を見てみたいものだね」

 トールは、やっと意味がわかったという顔をする。

「ああ、なるほどね。どうしても僕に魔力を使わせたいんだ。そのための挑発なんだろう?」

 エレオノーレは、彼の言葉に鼻で笑う。

「結果的にそうなるかな? だって、君は剣捌きがまるでなっていない。そんな素人相手に勝っても、貴族の名折れだからね。だから、魔力のぶつかり合いを誘っているだよ」


『魔力のぶつかり合い』


 その言葉に彼は、ひらめいた。


(ぶつかることなら、何をしてもいいよね。私闘なんだから)


 そして、ヒルデガルトの方へ視線を向け、彼女に向かって「戦うと喉が渇くよ。『水』がたくさんほしいね」と言いつつ、目で合図を送った。

 彼女はうなずく。

 まさに、以心伝心。


 それから、トールは、まだ生徒達がほとんど集まっていない穴の縁を探し、そこへ一気に跳躍した。

 ヒルデガルトとの距離は15メートルほど。

 彼は、周囲にいた生徒へ「ここで戦いが始まるから逃げて!」と遠ざける。


「おっ? やっと穴の外で戦う気になったらしい」

 エレオノーレも、そこへ一気に駆け上がった。

 だが、それはトールの罠だった。


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