表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

115/369

第115話 何をも優先する貴族の序列

 ここは、年中組三年生用の城の屋上。

 ブリューゲル一族の次男グスタフの左手が、三男カルルの胸元をわしづかみにしている。

「てめえ! 一体、どうなっているんだよ! お前なら、抜かりなくやると思ったのによぉ!」

「グスタフ兄さん。僕のせいでは――」


 グスタフは、右手の拳にハーッと息をかけて、カルルの左頬を五回殴打した。

 カルルは、必死で堪える。

「何でケートもマルガレーテも尻尾を巻いて逃げ帰ってくるんだよ!」

「だから……、知りませんって……」


「ケートは軍隊ごと剣圧で吹き飛ばされる、マルガレーテの最終奥義の雷撃魔法が破られる。どう考えても、最強野郎がどんどん力をつけているじゃんかよ!」

「それは……」

 カルルは『我々の攻撃が潜在能力を引き出しているから』という言葉を飲み込んだ。


「畜生! 今ちょうど最強野郎の魔力が尽きかけている頃。ここにアドラー伯爵家のエレオノーレが全力でぶつかれば、奴をたたきのめせるのに! 何でこんな絶好のチャンスに、あいつは旅行なんかしているんだよぉ!」

 グスタフは、腹いせにカルルを三回殴る。

「だから、知りませんって……。序列三位が不在なら、今回は例外的に飛び越えて、序列二位のミヒェル伯爵家の、ヘルムートを――」


 グスタフは、またカルルを三回殴る。

「貴族の序列を無視するな! 貴族には体面ってもんがある! ヘルムートなら、『序列三位を飛び越えてなぜ俺なんだ?』って怒り狂うぞ!」

「グスタフ兄さん。何を悠長なこと言っているんですか? 最強野郎が弱っている今こそがチャンスです。何なら私が行きましょうか?」


 グスタフは、またまたカルルを三回殴る。

「馬鹿野郎! 今序列一位が出て行ったら、二位以下が猛烈に怒るだろう!」

「なぜ、そうまで貴族の序列を優先するのですか!?」


「わからないのか!? 序列を保たないと、ファミリーの結束が崩れるんだよ!」

「結束は大事でも、こんな好機が目の前にあるのに、指をくわえて見ているのですか!? 叩くなら今ですよ!」


「結束は譲れん! 序列を守りつつ、今すぐ叩く!」

「え? それができないから困っているのに、どうやって!?」


「エレオノーレを速攻で呼び戻せ!」

「えええ!? 確か、ルシー王国を旅しているはずで、あそこなら馬車で往復四日はかかります」


「一日で呼び戻せ! 車を使え! 明日ここに連れてこい!」

「そんな無茶な……。僕は運転できないし、車でも二日かかるし」


「今が好機なんだろ? だったら、そういうお前が自分で何とかしろ!」

「……じゃあ、例の高級車と専属の運転手を貸してください。そして一日半ください。それが限界です」


「一日」

「一日半」


「一日」

「……わかりました。夜通し走らせて、一日と四分の一。明日の夕方までには」


「馬鹿かお前? 一日って言ったら24時間だ。今昼だろ? だから、明日の昼、この時刻!」

「…………努力します」


 グスタフは、もの凄い形相でカルルを三回殴る。

「努力じゃねえ!! 死ぬ気でやれ!!」

「………………はい」

 カルルは、血の味がする唇を噛んだ。


   ◆◆◆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
cont_access.php?citi_cont_id=229234444&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ