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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第一章 異世界転生編
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第1話 人外境での決戦

この物語の舞台となっているローテンシュタイン帝国の言葉、地名、人名、固有名詞は、ドイツ語がベースとなっています。でも、実在する地名、人名、固有名詞には全く関係ありませんし、定冠詞を省略したり、単語をつなげたり、発音も方言っぽくなっています。ですので、あくまで異世界の言葉として捉えていただけると助かります。


では、ごゆっくりお楽しみください。


[第一章の主な登場人物]

トール・ヴォルフ・ローテンシュタイン…主人公。一乗(いちじょう)ハヤテが転生

シャルロッテ・アーデルスカッツ…………ハヤテの幼馴染み。二城(にじょう)カリンが転生

マリー=ルイーゼ・ゾンネンバオム………ハヤテの幼馴染み。参上(さんじょう)ナナセが転生

ヒルデガルト・リリエンタール……………ハヤテの幼馴染み。市場(しじょう)アオイが転生

ニャン太郎……………………………………黒猫。転生後にマックスと改名

アーデルハイト・ゲルンシュタイン………魔物討伐隊隊員。年中組

ハンス・メビウス……………………………魔法科学研究所所長

ゲオルグ・クラウス…………………………メビウスの助手。帝国魔法学校非常勤講師

ゾフィー………………………………………大地の精霊

アンジェリーナ………………………………天空の精霊

フェニクス……………………………………火の精霊

アクアリウス…………………………………水の精霊

プンペンマイヤー……………………………猫族。カッツェンブローダ村長

ジクムント……………………………………エルフ族。四天王の一人

フリードマン…………………………………エルフ族。ジクムントの右腕

フリッツ………………………………………警備隊長

エーリッヒ・ローテンシュタイン…………ローテンシュタイン帝国皇帝

アーデルハイト・ローテンシュタイン……トールを引き取るローテンシュタイン帝国第五皇女

マリア・アーデルスカッツ…………………シャルロッテを引き取る侯爵夫人

バルバラ・ゾンネンバオム…………………マリー=ルイーゼを引き取る伯爵夫人

カタリーナ・リリエンタール………………ヒルデガルトを引き取る子爵夫人

名前のない女…………………………………天国・地獄・転生先を決める女神らしい女

五條(ごじょう)アリス……………………………………ハヤテの幼馴染み

禄畳(ろくじょう)ミチル……………………………………ハヤテの幼馴染み

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……


 低く垂れ込める薄墨色のぶ厚い雲。

 この陰鬱な空模様は、やはり凶相を告げていたのか。

 草木が完全に死に絶えて灰色の岩だらけの大地。

 それが、突如、不気味な地鳴りを響かせ、小さく波打つ。


 地表に横たわる無数の魔物の亡骸。

 それらも、地鳴りとともに震動する。

 まるで、復活せよ、目を覚ませ、と揺すられているかのように。


 ここは、ローテンシュタイン帝国の辺境の地、ツァオバータール。

 統治も及ばぬ『魔の渓谷』。

 神をも畏れぬ無数の魔物が跋扈する、数ある人外境の一つである。


 増え続ける魔物は、人外境を超えて周囲の集落へ、時には都市部へと来襲する。

 多くの冒険者が、魔法使いが、この地の討伐を試みる。

 しかし、足を踏み入れた途端、全てがここで息絶えた。


 今、この黄泉国への入り口に、勇猛果敢に挑んだ者達がいる。

 それは、帝国所轄の魔物討伐隊として派遣された少年一人、少女三人、そして黒猫一匹。

 誰もが肩で大きく息をし、辛うじて大地に立っている。


 少年達は異世界からの転生者。

 自ら望んで、この魔物討伐隊に加わった猛者である。


 討伐隊は、揺れる足下を見やるも、広く周囲に神経を尖らせる。

 そうして、微細な異変も逃すまいと、鋭い眼差しで警戒する。

 先ほどまで、雑魚の魔物を数え切れないくらい倒した。

 その後だけに、この不吉な前兆は、ボスの襲来をあからさまに告げているはずだ。


 見よ!


 彼らが立つ地面の近くで、直径20メートルくらいの円形の部分だけが大きく波打つ。

 すると、そこが徐々に盛り上がってドーム状になっていった。


 何かが地底から這い出てくる!


 素早く後ろへ跳んだ彼らは、岩陰へ身を潜めた。


 やがて膨張に耐えられなくなったドームの天辺から、ブワーッと白煙が吹き出す。

 その圧力で、大量の岩石が広範囲に吹き飛んだ。


 噴火!?

 いや、違う。


 破裂して大きく開いた穴から、規則的な呼吸音と、ゴロゴロと獣の喉が鳴るような音が空気を揺らす。

 先ほどの白煙は、得体の知れない何者かのブレスだったのだ。


 次に、穴の中でその何者かがうごめく不気味な音が聞こえてきた。

 見ると、穴の左右の縁に、黒くて鋭利な複数の鉤爪(かぎづめ)が掛かった。

 さらに、栗色の毛で覆われた手の甲が、手首が、丸太の数倍太い腕が、見る者を恐怖に陥れようと、ゆっくりと現れる。


 これは、とてつもなく大きな魔物のようだ。


 そいつは地表に両肘まで出したところで、筋肉がこわばった。

 グッと腕に力を入れたのだ。

 弾みをつけて、次は丸みを帯びた耳を。

 そしてついに頭を覗かせた。


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