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wasted world  ~白髪腕無し珍道中~  作者: フジシマサトシ
1/3

1話目

生まれてきた意味?

簡単よ

支配するため、それだけよ




















忘れられない顔がある。母の顔だ。



母は、いつも明るく、些細なことで笑う人だった。今まで関わったどんな人よりも、明るい人だった。


そんな母が、稀に、もの凄く痛そうな、辛そうな顔をすることがあった。

彼女は、そんな顔をした後、よく俺を抱きしめた。

そういう時俺は、彼女の辛そうな顔が、ちょっとでも和らぐように、少しばかり傷んだ、明るい茶色の髪を撫でつけるのが好きだった。

そうすると、彼女は口角を上げて、いつもの、底なしに明るい笑顔を俺に向け、


「さぁ、頑張るわよ!」


と俺の背中をバシバシと叩くのだ。




あぁ、そうだ、母のあの笑顔、それよりもっと忘れられない、あの…












あまりの寒さで目が覚めた。


所々穴の開いた、酷い臭いのする毛布に包まっても、一向に寒さは手加減してくれない。


昨日の真夜中から、体の感覚が無くなっている。凍傷になっているのは明白だった。

多分、もう手遅れだろう、ちらりと見ると手足は変色して、殆ど紫色になっていた。


けれどもう、どうでもよかった。そんなこと、どうでもいいのだ。


もうとっくに、俺は疲れ果ててしまった。



あれほど感じていた苦しみも、なくなってきた。

全身が気怠く、意識は遠のいていく。


酷く長かった。()()()数えると、何十年だろう。

やっと、死ねるのだ。


この苦しいだけの生は、ようやく終わりを迎えることができるのだ。



意識はさらに遠のいていく


全身の力が抜ける



あぁ…また…あの顔が…











「あら、こんな所で、良い拾い物をしたわね。」


「そうだな。フランセ。」








  




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