交信攪乱剤
なんとなく畑に出てみみたものの、思ったよりも早く作業が終わってしまい、母がリンゴ畑の空いた場所にマメトラをかけていたいました。この時期の家庭菜園は、夏野菜を植え付けるには早すぎるし、かといって放っておくと草だらけになってしまうしで、耕運機が活躍します。私がやってもいいのですが、母は私のやり方では納得いかないようです。体が動くうちは、好きにやってください。
マメトラの爪にあたらず無傷で掘り出されたカエルたちが、体中に土付けたまま動いています。掘り出されたカエルを狙っている鳥が待ち構えている中、どのくらいが逃げ切れたかなぁ、とか思いながらぼーっと眺めていました。
リンゴ畑内を歩くのが嫌になった父が、私に声をかけてきました。
「お前、これやるか」そう言って差し出したのは、10センチほどの茶色いビニールの輪です。これをリンゴの木の枝に引っ掛けろという事らしいです。
「どのくらいの間隔で?」
「そうだな、一反で100本だらかなぁ。この木なら12本くらいかなぁ」と言います。
「そんないい加減なので、効果あるの?」と私。
「さぁなぁ。これを使うと、卵が少なくなるらしいぞ。農薬使う量が減るくらいだから効果あるんじゃないか。県の指導だし」だそうです。
父の説明だとよくわからないのです、いろいろ調べてみました。
今日リンゴの木にかけていたのは、交信攪乱剤『コンフューザーR』。害虫の性フェロモンに作用して交尾を阻害する目的だそうで、殺虫効果はないそうです。
母が、農協で配っている防除暦を私に見せながら、
「この通りに消毒をしないと、農協に出荷できないのよねぇ」と言っていました。この性フェロモン剤を使って、指導通りに消毒をしていないと出荷できないのだそうです。
どのくらい前のことだったか、使うのを許可されていない農薬を使った農家の農作物が、市場に出回ったことがありました。その以来、いつ・どんな消毒をしたのかといった防除記録を提出しないと、出荷できなくなっています。父はそのために農事日記をつけているそうですが、私には出来そうもありません。
性フェロモン剤を使って増えすぎた人類の人口調整をする、そんなFSじみたネタを一瞬だけ考えてみたけれど、その先が続かないのでした。
(どなたか、書いてくれないかなぁ)




