表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日々の出来事  作者: 真澄
88/100

ふきみそ

 例年よりもかなり遅れてですが、庭先にふきのとうが頭を出し始めてました。それを見て亭主殿が

「ふきみそ食べたいな、ふきみそたべたいな」とうたっています。食べたいのならうたってないで、自分でとって採ってくれればいいものを。

 先日の休み、暇そうにしている亭主度にそういってみました。

「だって、もう花咲いちゃったじゃん」いやいやいや、まだ開いていないのは沢山あるはずですから。こちらは洗濯物干すので忙しいのです。室内に亭主殿の気配がないと思っていたら、一人で黙々と採っていました。ふきのとうを採ったのはいいとして、それをレジ袋に入れて放っておいても、ふきみそにはなりませんから。泥を落として傷んでいるところを外して、それから刻みんですから。

 「それ、水につけておいて」きっと普段料理をしたことがない人に、それ以上は頼めませんでした。


 家事がひと段落して、ふきみそづくりを開始です。ボールの底には自然に溶け落ちた泥がたまっています。外の葉をはぐと、まだ落ちきれていない泥があるのでそれもきれいに落とします。刻んで、油で炒めて、みりんと砂糖と味噌を適当に入れて、水気がなくなるまで煮詰めます。ここで一回味見をしてみると、苦い。みりんを足して、煮返して一晩味をなじませれば出来上がり…のはずです。

 次の日の朝改めて食べてみたのですが、美味しいとはいいがたいものになってしまいました。炒める時間が短かったせいか、苦みが全く抜けていません。苦みのある山菜を食べて、体に春になったことを知らせると体調がよくなるといったようなことを聞いたことがありますが、それにしても苦い。

そんな苦いふきみそを、亭主殿は黙って食べていきました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ