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日々の出来事  作者: 真澄
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春の七草

 冬休みだからと炬燵に入ってゴロゴロしている子供たちを見ていると、無性に腹が立ってきます。そこで母に頼んで、田畑に春の七草を採りにつれて行ってもらいました。家の中では炬燵に首まで潜っている子ども達ですが、無理やり引っ張り出してみれば、リードの外れた犬のように走り回っています。

 最初は、田の水の取り入れ口の用水の底です。その枯草下に、ほんの少しだけ芽の伸びたセリがありました。夏には憎たらしいほどのさばるのですが、この時期はまだかわいらしいものです。

 次は少し離れた畑です。ここ数日朝は氷点下の日が続き、採りに行った日の朝にはうっすらと雪が積もっていたにもかかわらず、ハコベは青々としています。いつもなら菜っ葉についていると取り除かれてしまう方なのに、今日だけは主役です。

 その隣には、土に張り付いたナズナがあります。こちらは若菜とはいいがたい、暗い緑です。寒い冬を耐え忍んでいるので、葉によってあ赤くなっていたり、半分枯れていたりします。それでも摘んだものは、独特の香りがあります。

 家に戻って探したのは、ゴギョウとホトケノザです。いつもの年ですと、ゴギョウは刈りやすいほどに伸びてるのですが、今年は数センチしか伸びていませんでした。気が付けば、例年枯葉の下に気配を見せるフキノトウをも見当たりあません。積雪がないので暖冬だと思っていたのですが、植物にとってはそうでもなかったようです。

 ホトケノザは母も自信がないようです。画像を検索してみても、花の咲いている一番いい時期のものが出ていて、寒さに耐えている画像はなかなか見つかりません。他のものもそうですが、花の咲いているときとはだいぶ様子が違っています。

 七草がゆの歴史を調べてみると、平安時代の頃からあったとか。その頃の暦で新春といえば、今のお正月よりも季節は進んでいたはずです。昔の京の都の風習を、山の中の田舎で再現するところに無理があるように感じます。

 集めてきたものは、枯れたところなどは取り除きます。その後水洗いをして、1時間ほど水にさらしておきます。こうすることで、洗っても取れない泥が自然に水の底に落ちていきます。その後ざっと湯がいて、また水にさらしておきました。

 

 亭主殿はお正月にたくさん休んだ分、今日は出勤していきました。朝からお粥だと、仕事にならないといわれそうなので、普通の朝食にしておきました。そこに昨日採って来たものに、大根の葉っぱを加えた、六草お浸しを添えておきました。

 味が付いていないと子供たちの食も進まないかと思い、インスタントの雑炊をを使って、六草雑炊にして出してみました。子供たちに感想を聞いてみると、娘は、

「こんなもんでしょ。それにしても雑草を食べるってすごい文化だね」とか言いながら食べています。イヤイヤイヤ、雑草じゃなくて縁起ものですから。息子は、

「苦くて、頭が痛くなってきた」と言い出しました。息子には、セリやナズナの苦みや香りがきつすぎたようです。母が用意してくれたものは、スーパーでパックで売られている2倍も3倍もの量です。少し入れすぎたようです。

 私は、子供の頃食べさせられて懐かしい味です。私が子供の頃、食卓にはナズナやセリのお浸しが上がっていました。その頃近くにスーパーなどありませんでした。食材を調達するのに苦労していたのかと母に聞いたところ、ナズナは母がセリは父が好きだったようです。


 


 

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