スキー
例年ですと、お正月の3日にスキーに行っていました。ですが来年のお正月は、亭主殿がお宮の役をやっている関係で、スキーに行けそうもありません。いつ行けるかわからなくなると、無性に行きたくなるものです。今年は暖冬になるかも、なんて長期予報を出すお天気キャスターの言葉を聞くと、尚更です。青空をバックに白く映える、後立山連峰が恨めしくなってきます。
イヤ、後立山連峰があれだけ白いんだからどこかに滑れるスキー場があるはずだ、という信念のもとスキー場の検索を始めました。条件は、スキーのセットのレンタルがあることと、家から1時間以内で行けることと、初心者用のコースが滑れることです。この条件に当てはまったのが、五竜岳山麓のスキー場です。
スキー場のホームページを見て驚きました。リフトの料金区分がディズニーパークのようになっているのです。見慣れた料金区分ですと、大人・学生・小学生・未就学児といった区分の仕方です。ところが、49歳以上・18歳以上・11歳以上・6歳以上になっているのです。英国の学校制度は知りませんが、これって日本の学校制度ではないような気がします。
白馬地域のスキー場は、長野冬季オリンピック以来、オーストラリアやニュージーランドからのスキーヤーで賑わっているようです。つい先日も長野駅東口の白馬方面に向かうバス停に、何人かの白人の方を見かけました。そんなこともあって、料金区分が欧米仕様になっているのかと、思ったのでした。
不思議なものです。いつも行きなれている市内のスキー場なら大人しくしている子供たちが、30分ほどたった頃、後どのくらいで着くのかと聞いてきました。迷わなければ、すぐ着く距離です。ところが、オリンピック道路が出来てから、白馬村内で迷うことが多くなりました。私の頭の中で若い頃に覚えた道と、オリンピック道路がなかなかつながらないのです。オリンピックから20年にもなるのに、困ったものです。
道に迷いながらも、何とか目的のスキー場に到着しました。駐車場に止まっている車のプレートを見れば、ほとんどが県外車です。県内車は1割、あるかないかです。
自分たちの身支度を整え、レンタルスキーのショップに入って驚きました。レンタル料金が在所の市内のスキー場の倍近くもするのです。もう、びっくりです。ここまで来てレンタル料が高いから帰ります、とも言えません。泣く泣く万札を出しまた。リフトも、県で配っている半額割引のチケットを使うつもりでした。ところが、小学生無料デーですから、と言われてなんとなく使いずらくなってしまいました。大人二人分のリフト代よりも4人分が半額になった方がお得だったのと、ちょっと残念です。そんなこともあろうかと、ホームページからお得なクーポンを印刷して持参したいました。が、コピー用紙が見つからなくて学校からのお便りに印刷して持参したのです。あとで裏面を見て、スタッフの方が驚きそうです。
様々な予想外のことをやり過ごした後、何とかゴンドラに搭乗する事が出来ました。初めてのゴンドラに子供達は、はしゃいでします。亭主度も一緒にはしゃぐか。なんだかこの雰囲気、遊園地に行って初めてアトラクションに乗るときのようです。その浮かれた気分も、ゴンドラを降りた後のリフト乗り場の列を見てしぼんでしまいました。子供たちにとっては、初めて見るリフトの順番待ちです。私は、久しぶりに見た光景です。ゴンドラの上部しか滑走できないのですから、一部のリフトに人が集まるのは当然といえば、当然のことなのですが、失念していました。
リフト待ちの間、前の若い方の団体が賑やかでした。泊りで来たのか、前の夜のことや装備自慢やら楽しそうにお話しています。ですが、後ろを向いてお話しているのはいいのですが前が進んだら前に詰めてください。そうしないと後が進みません。団子状態のリフト待ちは、気合で前に進まないとなかなか順番が来ないのです。
リフトに乗った後、娘はこんなことを言い出しました。
「イケイケの人達って、怖い」だそうで。私から見れば、若人がわちゃわちゃと楽しそうにしていると思たのですが、娘にとっては違うようです。スキーに来る前も、外国の人がいるスキー場は嫌だの何のといっていました。いつもと違う環境に出向くことを、異常に嫌がるビビりです。
家を出る時には、後立山連峰がきれいに見えていました。なのにスキー場上部に到着する頃には、雲がわいてきてしまって、山頂付近は見えなくなってしまいました。見えるのは、山頂に続く遠見尾根だけです。五龍岳の特徴といえば山頂付近の山肌に見える菱形なのに、それが見えないのは残念です。
体がスキーに慣れてきたころ娘が、
「私の滑り方変だよね。きれいに滑れるようになりたい」と言い出しました。それならと、きれいに滑れるようになるための、地味な基礎練習を教えたり、見本を見せたりしたのですが、
「無理」の一言でやろうともしません。
そんな娘に呆れていると、近くで怒鳴り声が聞こえてきました。子供にスキーを教えているお父さんだと思われます。怒られているのは、小学校に上がったばかりかその前かと思われる男の子です。お父さんの言っていることは、間違ってはいないのです。ですがねぇ、小さな子供にその言い方では理解できないのではないでしょうか。あんなに怒鳴られたら、スキーを嫌いになりそうです。
私自身にも経験があるのです。自分は学生時代から数えて、20年以上スキーに乗っているのです。基本的な体の動きは、体に染みついていますし、スキーの入門書も何冊か読んで大体のこと理解できています。ところがそれを、子供に伝えようとしたときに困ったのです。一番初めの「足をハの字に」っていう事だって、相手がカタカナのハの字を知っていれば伝わることです。カタカナを知らない子供に、「足をハの字」と言っても理解できません。それよりも、「かかとに力を入れて外に押し出す」といった方が理解できます。
そうやって基本だけを教えた息子は、ひどい格好で好き勝手に滑っています。スピードの抑え方と曲がり方さえ覚えれば何とかなるものです。どうせそのうち
「スノボをやりたい」とか言い出すのでしょうから。




