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日々の出来事  作者: 真澄
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ランドセル

 卒業まであと数か月となって、娘がランドセルが壊れたから直してと言い出しました。安物を買った覚えはないのですが、やはり初売りの特売で購入したのがいけなかったのでしょうか。


 どちらかのジジかババが用意してくれるというのを待っていたのですが、どちら側からも用意してくれると言い出してもらえませんでした。近くのババからは、

「親が用意するものさぁ」と言われてしまいました。

 学習机が届いてから用意しようと決めていたのですが、初売りの半額に目がくらんで買ってしまいました。娘が好きな色を選んでさて会計等という時に、修羅場になりした。息子が、僕も欲しいと騒ぎ出したのです。

 小学生になるときにちゃんと買ってあげるとか、保育園に通うためのリックを買ってあげるとか、いろいろ説明したのですが、どうしても納得しない息子。スーパーのカバン売り場で大騒ぎして帰って来たのでした。

 

 娘のランドセルを購入したスーパーは、数年前に撤退しています。6年間保証を利用しようとすれば、隣の市の店舗まで出向けば、使えるとは思うのです。ですが問題は、修理に出している間何で学校に通うかです。先生に理由を話して、リックで通うという事になるのでしょう。ですが娘は、それはそれで嫌なようです。

 娘のランドセルは、かぶせと留め金をつなぐ部分の皮が、破けています。こんなところ素人が何とかなる部分ではありません。木綿糸でなんとなくそれらしくつないで、そーっと使うように言っておきました。

 何日かたったある日また娘が、壊れたから何とかしてと言い出しました。聞けば友達にかぶせにしがみつかれたとか。どうやら、熱烈な親愛の情を態度であらわしてくれる友達がいるようです。小学生がじゃれあっている様子が、目に浮かびます。亭主殿に話すと、

「誰かにいじめられているのか」となりそうなので、やめておきました。

 数日すると、また壊れたと娘が言い出しました。熱烈な親愛の態度に木綿糸が耐えられないようです。見た目を気にする娘も、

「ガムテープでいいや」と言い出しました。


 子供たちに、いざという時に何をもって家を出たいかと聞いたことがあります。ふたりとも一番に

「ランドセル」と叫びました。子供にとって、学校に一緒に通うランドセルは、特別な存在なのかもしれません。

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