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日々の出来事  作者: 真澄
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お土産

 ババはジジに、退職したら毎月温泉に連れて行くように約束したそうです。その結果、農作業とジジの趣味の合間をぬって、よく温泉に泊まりに出かけます。夏だとその間だけ私が、田んぼの水回りをすることになります。

 つい先日も、東北に温泉旅行に行くと言ってきました。仙台を通るからお土産に欲しいものはないかと、聞いてきました。蒲鉾がお好きな方なら、笹かまぼことでもいうのでしょう。ですが私は、

「牛タンの燻製」と叫んだのです。仙台といえば、牛タンしか思い浮かばなかったのです。

 数日後温泉から帰って来たババは、山のようにお土産を抱えて離れにやってきました。温泉饅頭が二種類にビーフジャーキーが二種類。チョコレート菓子が数種類に何故かミカンまであります。

「東北に行ってなぜミカン? 」と聞く私に、

「今回は果物が無かったからさぁ」とババが答えます。果物好きの孫にお土産がないのは可哀想というので、近くのスーパーで買って来たそうです。イヤイヤイヤ、我が家にはリンゴがあるでしょうに。

「牛タン買って来れななかった」とさらに続けます。イヤイヤイヤ、牛タンのビーフジャーキーがあればそれでいいですから。

 頭が白くなってきた娘に、山のようにお土産買ってくるなんて。呆れるやら、嬉しいやらなんといっていいのやらです。


 義父は町会議員でした。私は1回だけ選挙のお手伝いに行ったことがあります。その時の、亭主殿の祖母の様子が思い出されます。投票が終わると、待ちの有線放送で開票の様子が放送されます。その様子を心配そうに見ていましたが、当選が決まると嬉しそうにしていたのです。

 その祖母も、数年前に鬼籍に入りました。その葬儀の席で義父は、いつまでも母に世話を焼かれていたと話していました。


 「親が生きているうちはいつまでも子供」そんな言葉が思い浮かびました。

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