農業
品質と品種の違いを娘に説明していたら、突然娘が暴走しだしました。
「じゃぁ、バナナの濃厚さをお米に加えるように品種改良をして・・・」
「それ無理だから、バナナとお米じゃ遺伝子が違いすぎるから」と私。たぶん出来ないと思うのですが、実際のところはどうなのでしょうか。それよりも、面白いものを思い出しました。
「昔、ポマトってあったよ。上がトマトで下がジャガイモ。ジャガイモとトマトは遺伝子が似てるからできたみたいだけど。」
「じゃぁ、上がリンゴで下がジャガイモ」と娘。
「だから、遺伝子が似てるから出来るんであって、リンゴとジャガイモじゃ違いすぎるでしょう。大体、根っこがジャガイモのリンゴって、どこから栄養を摂るんだい。」と、娘に説明を続けていきます。
「両方の根っこが、ジャガイモで真ん中の根っこで栄養を吸収して・・・」まだ続けています。子供の発想って、自由で大人斜め上のほうに飛んでいきます。聞いている分には面白いです。
「とこで、こんなことってどこでやるの」いきなり娘の考えが、現実に戻ってきました。
「農業高校に行って、農大に行ってバイオテクノロジー科とか・・・」と私。
「じゃぁいいや、農がつくよな泥臭いのは向いていないから」あなたの口から、その言葉が出ますか? 田んぼに水が張られた途端に、田んぼに入って泥遊びを始めるようなあなたの口から、と私は娘に言いたい気分です。
せっかく娘が農業に興味を持ったと一瞬喜んだのに、ぬか喜びに終わってしまいました。
リンゴとジャガイモの説明をしているうちに、気が付きました。ポマトだって、一株で上と下の作物を育てるのだから、無理があるはずです。改めて、あれは何だったのか調べてみました。難しくて理解できませんが、異なる細胞の壁を溶かして、合わせて一つの細胞に作りかえる実験だったそうです。ポマトの目的は、ジャガイモの耐寒性をトマトに付けるための実験の産物で、食糧の生産性を上げる実験ではなかったそうです。遺伝子が近いとか遠いとか関係なかったのです。
ところで娘の中では、農が付くものは恰好悪いのでしょうか。どんなにマネーゲームが出来て、お金が稼げても食べるもがなければ、人間生きてけないのに。
百姓という言葉が、放送禁止用語だと聞いて驚いたことがあります。本来の意味を調べてみると、人民といった意味だったようです。中世の頃から田んぼを管理する人のことを呼ぶ言葉になり、江戸時代に一般に浸透していったようです。
ですが漢字の意味をそのままとれば、百の姓です。季節の移り変わりを肌で感じ、自ら語ることのない作物たちの様子を察して、耕作していきます。気象学・植物学・昆虫学・土壌に関する知識様々な学問が必要になる仕事に、ぴったりだと思っていました。
アメリカの成功者の最後の夢は、農園を買って運営することだと聞いたことがあります。身の回りでは、リタイヤされた方々が、農地を借りてまで家庭菜園を楽しんでいます。ここ数年、家庭菜園やプランターで野菜を作る方法が紹介されることも多くなりました。
子供達よ、農業は恰好悪い職業じゃないんだぞと、声を大にして言いたいと思います。




