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前と後ろ
ババが私に言います。
「これから野沢菜撒くから、さくってくれや」今年は秋の長雨で時季を逸したから、野沢菜撒くのやめようと思ったけど、年を越せば食べれるようになるから撒くことにしたそうです。畑に一直線に堆肥と化学肥料がまかれています。そこを鍬で土と混ぜるために、軽く耕していきます。
両足を開き間に鍬を構えて後ろに耕していくと、ババが笑い出しました。
「さくる時には、前に進むんだよぉ。なんで逆に覚えちゃったかねぇ。」
「じゃぁ、田植えは? 」と聞いてみます。私が小学生の頃はまだ、手植えが主流でした。確か田植えでは、下がりながら股の間に苗を植えていたような気がします。
「後ろに下がるのは、田植えとスコップで土をおこす時だけだよぉ」とババが言います。そうか、それと勘違いしているんでしょねぇ。
土と肥料が混ざれば、前に進もうが後ろに下がろうが、あまり関係がないとは思いますけどねぇ。




