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日々の出来事  作者: 真澄
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リンゴ りんご 林檎

先日のこと、外が薄暗くなっているのに友達の家に遊びに行った息子が帰ってきません。もうそろそろ探しに行こうかと思った時に、

「アッポー、アッポー」と小躍りしながら息子が帰ってきました。

 何のことやら思っていると、調理台にリンゴが置かれました。リンゴが食べたいからって、薄暗いリンゴ畑に自分でリンゴを採りに行くって、ワイルドすぎるだろうに。

 と思いながら、今までの息子の行動を思い出しました。息子は保育園に上がる前、ババの後ろについて家庭菜園に行き、ミニトマトを自分で採ってその場で食べていました。小学校に上がると友達を家庭菜園に招いて、私が趣味で作っているイチゴを採って、その場で食べていました。それを考えれば、いまさらか。

 息子が採ってきたリンゴは、秋映あきばえ。ババが孫可愛さに植えた、自家用のリンゴです。だから勝手にとってもいいんですけどねぇ。赤くなっているから美味しそうに見えたのでしょうけれど、お店に並ぶときには赤黒くなる品種です。出荷されるのはもう少し先だそうですが、食べて美味しいならいいことにしておきましょう。

 我が家の主力は、フジです。ここ数年、秋になってもなかなか気温が下がらなくなってきています。このことは、我が家の樹にとっては厄介な問題になっています。我が家の品種は、日光に当たることはもちろんのこと、ある程度気候が涼しくなって朝晩の寒暖差がないと、色がつかないのです。色が悪くても、味はいいのですがねぇ。やっぱりリンゴは、赤くないとダメなようです。

 そんな事情もあって果樹試験場では、気温が下がらなくても色がつく品種も作られています。我が家の樹は、四十年以上も前に植えられたものです。幹の中が空洞になったものや、病気になった枝も出てきました。次世代の樹を植えなければいけない時期に来ています。次世代の樹を植えるならば、気温に関係なく色がつく品種を植えてほしかったのですがねぇ。

 「農協で集荷しないものを作っても、どうやって販売するんだ。」

の父の一言で、フジがまた植えられました。


 この夏は、雨の降らない暑い日が続きました。モモは気が付いた時には水不足のために、過熟になってしまい、多くの実が落ちてしまいました。リンゴはそうならないために、数年ぶりに灌水しました。灌水をしなかった近所のリンゴの木は、何本かは葉が黄色くなって落ちてしまいました。夏の暑さに負けてしまったのかと思っていたのですが、驚きました。

 花が咲いていたのです。葉はほとんど落ちしまいましたが、リンゴの実はいくつかついています。にもかかわらず、白い花がついているのです。半分死にかけていたところに、何回雨に当たって生き返ったのでしょうか。生命の不思議を見た気がしました。

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