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十二支学園  作者: 美也
4/6

犬猿の仲(申戌 NL)

申×戌のツンデレけんかップル。


三人称視点。

「ちょっと!なんでついてくんのよ!」


「あぁ!?俺も当番なんだから仕方ねぇだろ!そんくらいもわかんねぇんですかーっ?」


「そのくらい知ってるわよ!あっちから行きなさいって言ってんの!」


「なんで遠回りしなきゃなんねぇんだよ!おまえが行け!」


「イヤよ!」


一人分距離を空けながら、並んで廊下を歩く男女を他の生徒は遠巻きに見る。ある者は五月蝿そうに、ある者はハラハラとしながら。それに気付かず二人は苛立たしげに足音を鳴らしながらある場所へと進んで行った。


「おー、きたきた。いらっしゃい。お二人さん」


「「先生!」」


キャンキャンと鳴り止まない口喧嘩をおっとりとした女性の声が遮ると、パッと顔を輝かせる女の子と逆に顔を顰める男の子。


「ワンちゃんもサルくんも元気ねぇ」


楽しそうなにこにこ笑顔でしぃっと人差し指を立てて二人を宥めながら自分の席へ誘導する二人の担任。ハッと周りを見回して騒がしくしてしまった事を気不味そうにして頭を掻き下げた男の子に続いて申し訳なさそうにお辞儀した女の子が職員室へと入る。その様子をある者は溜め息を吐きながら、またある者は微笑ましそうに笑いながら見送った。


幼い頃から喧嘩ばかりの二人は犬猿の仲だという事でいつの間にか『ワンちゃん』と『サルくん』というあだ名がつけられていた。あんまりだ、と言われる度に抗議していたが訂正しようにも浸透し過ぎていつしか諦めてしまった名前。女の子の方は存外すんなり受け入れたが、男の子の方は未だ不服そうにしながら返事をしている。


さて。そんな二人のご用事は。


「……先生、なんでこいつと俺当番一緒なんすか」


「……こいつってなによっ」


声は潜められたが未だに続く喧嘩に担任は目を細めてまあまあと手をひらめかせる。途端にパッとそちらを見て大人しくなる女の子に、それを見てむくれる男の子。当番を頼む担任はにこにこしながら棚のプリントを引っ張り出した。


「……先生にはいい顔しやがって」


「……別にしてないし」


むくれてぶつぶつ言う男の子を同じように口を尖らせつつチラチラ見る女の子。大人しくしてはいるが廊下に出ればまたいさかいが起こりそう。そんな二人の生徒に教科の連絡事を伝えた担任は顎に指をやり、ん~と何か考える仕草をしたと思うとぽふりと手を叩いた。


「ね、わんちゃん。先生のこと、好き?」


「好きですっ」


即答に男の子が顔を歪める。気付かず笑顔を担任に向ける女の子に、担任はにっこり笑って首を傾げた。


「じゃあ、さるくんのことは?」


「え」


担任の質問に今度はピタリと動きを止めた女の子がギギギッと一旦男の子を見た後バッと顔を戻す。


「……そんなのどうでもいいじゃないですかっ」


「……どうでもいいってなんだよ」


直ぐに嫌いと言われるだろうと思ってどう言い返してやろうかと構えていた男の子は肩透かしを食らい、暫く瞬きを繰り返していたがボソッと言われた台詞に噛みついた。


「っ……どーでもいいったらいいのっ」


「……はぁっ?わっけわかんねぇ」


苛立たし気に吐き捨てた男の子を女の子が睨む。その頬は真っ赤で。


「……あんたなんかっ」


「……っなんだよっ」


「……―――っ」


「あ、おい!」


職員室を飛び出した女の子を追って男の子も駆け出す。バタバタと遠ざかる足音を聞きながら、運んでもらう筈だったノートとプリントの山に肘をついて担任教師はコロコロと笑った。



『犬猿の仲』

『要は相手が気になるのです』

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