偏頭痛彼女
ダメだ。
仕事が進まない。
目の前には大量の紙、紙、紙。
生徒会としての仕事が山ほどあるのだ。
休んでいる暇はない。
だというのに頭が重い。
ズキズキと鬱陶しい痛みが主張してくる。
ぐしゃりと手元の書類にシワがよる。
「会長?」
作業の手を止めて副会長が私の顔を覗き込んでくる。
視線を交わして「なんでもない」と告げ仕事に戻ろうとする。
が、痛みで全く進まない。
雨音が遠くに聞こえた。
今日の天気は雨。
一日中雨だ。
機嫌も悪くなる上に、偏頭痛までするこの天気。
実に不愉快だ。
ボールペンを放り出してカーテンを閉める。
シャッと軽快な音を立てて外の風景とこの部屋を遮断した。
つい、出そうになってしまうため息を殺して肩を落とす。
なんて今日も不快なのだろう。
「会長、大丈夫ですか?」
書記が自分の席から立ち、私の席の真ん前に立つ。
「平気よ」
所詮強がりだが。
書記の方が溜息を吐き、水の入ったマグカップと小箱を差し出す。
頭痛薬だ。
「いらな…」
「飲んでください」
有無を言わせぬ口調。
ズキズキと脈打つ鬱陶しい痛み。
遮断されたはずの世界から聞こえる雨音。
心配そうな生徒会メンバー。
毎度お馴染の光景だと思いながら、私は渋々薬を飲み込むのだ。