第3話 抱き枕と異世界への転移
正一は翌朝、いつものように朝日で意識が覚醒した。
意識だけが起きていて、目はまだ開けていない状況である。
それだけなら普通の朝である。
しかし正一は身体に違和感を感じた…否、身体の「感触」に、だ。
「暖かくて、柔らかい…」
そう、背中の肩甲骨のあたりが柔らかく、胴に帯を巻かれたような感触がする。
そして暖かい。
ここまでの思考時間、2秒。
正一は、目をぱっちりと開けた。
見慣れた部屋の天井が映る。
そして、顔を横に向けると。
「やっぱりな…」
そう、琴美が自分を抱き枕のようにして抱きついて寝ているのである。
背中に当たっていたのは…ある脂肪の塊であった。
(耐えろ俺の理性……!!耐えるんだっ!!)
「んむぅ…… ふぁぁあ。おはよう。」
「お、おお、おい//」
テンパッてしまってうまく話せない。鉄の理性じゃなかったのか。
「何?」
「な、なんで俺の布団に入ってるんだ?床で寝たんじゃなかったのか?」
「床だと寒いから……というのは建前」
「本音を言ってもらって結構」
すると琴美は少し頬を赤らめて言った。
「貴方と添い寝したかったからよ…///……暖かそうだったし。手頃なサイズだし」
「はぁ……」
正一は抱きつかれている手を優しく解くと、朝食を取るため部屋の扉を開けた。
「起こして」
「…はいよ。」
二人は揃って扉を開けた。
そして振り返ると
草原でした。
「「( ( ゜д゜)ポカーン )」」
「ど、どういうことよこれ!」
「俺も知りてぇよ!!…一体全体何なんだ…」
今まであったドアがなくなっている。
「携帯携帯、っと」
取り敢えず、携帯で現在地を確認することに。
「ケイタイ?……ああ、アレのことね」
「ああ。それでここどこか調べてみる」
しばらく調べて分かった。現実とは無情であった。
「GPS、基地局ともに応答なし。GPSを、全方位、感度最大で検索したが、反応なし。
つまりここ、「俺たちの」地球じゃない。」
琴美は険しい表情であった。
「そう…どうしようかしらね…食料とかどうやって調達するつもり?」
「そうだな……」
正一はしばらく考え、ある結論を導き出した。
「あ、そうだ、能力で朝飯作れるかな」
色々試行錯誤した結果、五分ほどで創造のやり方が分かった。
「よし、やってみよう。『ご飯と味噌汁と焼き魚は、テーブルにセットされた状態で、椅子と共に、この場に必ず「有」る』」
すると、目の前に、食事が載ったテーブルと椅子が現れた。
「あ、出来たじゃない!!凄いわね…」
「さて、うまくいったことだし、食べてしまおう」
「そうね。食べている間に策も練りましょうか。」
正一は改めて深呼吸した。
この世界は、空気が綺麗なようだ。
肺の中に、清々しい空気が入っていくのが感じられた。
さて、対策を考えようか。
正一は、ご飯を食べ始めたのだった。