第2話 式神少女と能力判明
「ア、ア、ア、ア、ア…アレハユメダキットユメダハヤクメェサマセオレ」
「むう。さてと、状況確認ですわね。……………えーっと…どうされましたか?顔色が悪いですわよ?」
少女には、正一の脳内回路がオーバーヒートしていることなど解る訳もなかった。
「えっと、じゃあ君…神原さんは、誰にも拾われることもなくあの本屋で眠っていたというのですか」
「ええ、そうですわ。封印されている間の記憶はないので」
正一は、考える素振りを見せた後、言った。
「あ、あの、おひとつ伺いたいことが…」
「何でしょう?」
「一体これからどうs「え?ここに住みますけど?」………え゛?」
しょういちは ふりーずした。
「さすがにそれはd「…ダメなのですか?」…う゛っ」
涙目と上目遣い=女性の必殺技
このコンビは正一に強烈なアタックをかけたのであった。
正一は両手を上げて降参の意思を伝える。
「わかりましたよ…」
その途端、少女の顔が、パアア、という効果音でも付きそうな位明るくなる。
「これから宜しくお願いしますわね♪えっと「大原正一です。正一で結構ですよ」
……正一くん、私のことも琴美でいいですよ。
あと、普通にしゃべりやすい口調で構いませんわ」
「では…琴美、これでいいか?」
少女は頷く。
「ええ。…私も敬語やめていいですか?」
続いて、正一も頷く。
「では…正一、これからよろしくね♪」
こうして、琴美との共同生活が始まったのであった。
「そういえば、琴美。お前特技とかあるの?」
「ええ。そうね、簡単にいえば……術、ならなんでも操れるってことかしら」
「すげえな」
「名前は、「術を司る程度の能力」といったところかしら」
「(突っ込んだら負けだ…)……お前人間?」
「正一ったら……乙女になんて酷い事を……」
琴美はヨヨヨと泣き崩れる。無論、嘘泣きであることはバレバレであるが。
しかしそれすら気づかない正一は若干焦りながら、弁明に努める。
「い、いや、そういうことじゃなくて…種族的に本当に人間か、ってこと」
「…あなたって優しいのね。……式神よ。陰陽道方式で、魔力がエネルギーの特殊な式神」
魔力を使う式神なんて初耳だ。
普通、式神は霊力を媒体に起動する。気でもできないことはないが。
ましてや、魔力などもっての外である。
そこまで詳しくはないが、一応基礎知識として知っている。
考えても意味が無いと悟った正一は、軽い冗談を言ってみることにした。
「じゃあさ、俺にも能力とかあんのか?」
「うーん…ちょっと動かないでいて」
正一が驚いている間に、琴美は持っている(封印されていたもの)魔導書を開き、
中の1ページを指でなぞる。
そして、正一の頭の上で魔方陣を描き、起動させる。
「これは能力を調べる術よ。えーとどれどれ…」
琴美は魔方陣に浮かび上がった文字を観察していた。
すると突然
「これね…えっと…………ええええええええええええええええええええええええ!?」
琴美が口をポカン、と開けて固まっている。
「どうしたんだ?何か問題があったの?ワァッツザプロブゥレム?」
「やけに発音いいわね…じゃなくて!問題ありすぎよ!!」
「い、言ってみろ」
琴美は息を吸うと、叫んだ。
「あなたの能力名はッ!
「有と無を弄ぶ程度の能力」よッ!」
正一は、何が何だかわからず
ポカーン( ゜д゜)となっていた。
「簡単に言うなら…確率など、すべての物事などに対する、「有と無」が操れるのよ!!」
「ぇ、ぇえ、えええええええええええ!?」
父さん、母さん。俺いつの間にかチートになってたよ。ごめんね。
正一の脳はオーバーヒートを通り越して消し炭になっていた。
対する琴美は、ただただ感心と驚愕で頭がいっぱいなのであった…
これから一体どうなるんだ…