Ep1.2
「で、詳しく聞かせろよその話」
「ああ、実はまだ衝撃が収まらないんだがな...」
さっきまでの態度からは考えられない発言だ。
「昨日の深夜さ 腹減ってコンビニに食いもん探しに行ってたんだよ」
「途中で路地裏があってよ そこに見慣れない黒服の男がたっててよぉ
んで俺は夜目が効くから気になってしばらく様子を見てたわけ」
「そしたら急に男の首が刀で切られたみたいに跳ね落ちたんだ」
「俺は怖くなって全速力で逃げ出しちまった」
「すごく嘘くさい話だな 警察には通報したのか?」
「いや、まだだ というのも続きがあってだな」
「首が飛ぶときその男からは、一切血が流れなかったんだよ
それっておかしくねぇか?」
確かに、いかに暗かったとはいえ首が切られているからには大量に血が出るために見逃すと言うのは考えにくい。
「そんで不思議に思って好奇心で恐る恐る路地裏戻ってみたんだよ」
「だがな、そこには何も無かったんだ」
「ふーん」
「ふーんっておぉい! 驚かねぇのかよ!!」
「だってそんなB級階段話みたいなの信じられるわけないじゃん! 流石に今回ばかりは誠の見間違えかなんかでしょ」
「ぐぬぬ...」
とはいえ誠の運動能力、野性的勘や五感は日本でも指折りのものであり十分に信用に足るものである。また誠が嘘をつくとも考えにくい。
「で、それを俺に話したってことは頼みがあるんだろ」
「話が早くて助かる
今日の夜見に行って見ねぇか?路地裏に」
やはりか。とはいえ今日は特に用事もなく気にならなくもないのでここは同意しておこう。
と声を出そうとしたその時だ
「西園くん、その話私も聞いていい?」
珍しい客人だ。確か同じクラスの
「いきなりごめんなさい 霧島雪です」
「どうしたんだ?何か知ってんのか?」
「話をこっそり聞いたんだけど...実は私の友達もそれと似たようなことを言ってて...」
「ホントか!」
「う、うん」
「おい誠あんまり霧島さんを威圧するんじゃない
ところでその友達には話をきけないかな?」
「それは...できないです」
霧島さんは泣きそうな顔で続けた。
「最近ずっと学校に来てないんです...!連絡もつかなくて...」
「「.....」」