Ep1.1
20XX年、世界中で突如として異能の力を持つ人間が現れた。ある者は空を飛び、またある者は火を吹くことができた。そんな夢のような力を持つ存在は'Dreamer'と呼ばれるようになった。
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さらに数年たった頃にはその数を増し、Dreamerについての研究が進んだ。それによって多くのことが知られるようになった。力は'Dream'と名付けられ、それは人間が強い願いや欲望を持ったとき、その内容に応じて個人に与えられる人類の進化の一部だと考えられている。しかしなぜ突然人間に進化が起きたかなど大部分は未だ判明していない。
また、多くの人間が急に力を持ったことで様々な問題が起きた。Dreamによる犯罪や大規模テロなどである。そのため同じ力を持つ自警団が各地で形成され、各国政府はこれらと協力し7年後にほとんどを鎮圧することに成功した。
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それから数十年後、現在に至る。今では人口の約半数がDreamerとなり、かつての治安維持に努めた自警団はDreamer Safety Institutions 通称DSIという政府や企業が運営する組織となった。いわば対異能力に特化した警察のような役割を果たす。
インフラも整備され国民には特殊なリストバンド着用が義務付けられた。これには能力の使用を感知する機能があり、日常での異能の使用は特別な場合を除いて法律で禁止されている。こうして世は一種の安定期を迎えた。
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「おい、宗一 聞いてるかー」
「...はぁ お前これ何回目だよ...」
「頼むって 今回で最後にするからさっ」
そう言って俺に宿題の写しを催促してくるのが西園誠。数少ない友達の1人だ。髪は金髪、高身長で身体にいくつか傷がある、正に'いかにも'な見た目で一見すると誰もが近寄り難いと思うだろう。しかし彼の髪や身体は彼自身Dreamによる後遺症のようなものであると知っているため気が合う俺たちが仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
そしてそんな俺の名前は工藤宗一。頭脳は平均、運動もそこそこ、中肉中背であり、100人が見れば全員忘れるであろう顔立ちをしていると思う。今はここ東京異能第三学園に通う何のへんてつもない17歳だ。
「...またなんか奢れよ...」
呆れる気持ちで目的の物を渡す。
「サンキュー そういやお礼と言っちゃあなんだけど面白い話があるんだよ 」
「一体今度はなんだ?」
誠がこう言うときは大抵ろくな話では無いため身構えながら尋ねる。
「実はな、、見たんだよ」
「見たって何を?」
「人が、、殺されるところだよ」
まーた面倒事が始まりそうだ