双子のお姫様のオシャレ改心物語
この作品はひだまり童話館主催企画・第28回企画『たぷたぷな話』参加作品です。
ある所に
双子のお姫様が居ました
双子のお姫様たちはオシャレが大好き!
たあっくさんのドレスを持っていて、さらにさらにと仕立て屋に毎日新しいドレスを作ってもらっていました
おかげで双子のお姫様にはお城にそれぞれ3部屋も衣裳部屋がありました
つまり計6部屋です
毎日違うドレスを着て身を飾り、オシャレを楽しんでいました
それだけドレスを作れば、仕立て屋には膨大なお金を払っていますから、
国の財政はとても厳しいのが現実
しかしそんな事はお構いなく、双子のお姫様は
「新しいドレスが欲しいわ!」
「ええ、欲しいわ」
と我が儘を言う毎日
王様は頭を悩ませておりました
王妃様は双子のお姫様が幼い時に流行り病で亡くなっていたので、
注意する人が周りに誰も居ませんでした
ある日
隣の大陸の異国の王子様がその国を訪れました
見目麗しい王子様は港に降りると、眉をひそめました
港で働く人は皆、粗末な服を着ており、町の人々もつぎはぎだらけの服を着ているではありませんか
おまけに服はぶかぶか、たぷたぷ、ぴっちぴちと誰一人自分の体に合うサイズの服を着ていないのです
異国の王子様はそこで、あえて商人身なりを変えて町の仕立て屋に行きました
町の仕立て屋には、ろくな生地が売っていませんでした
理由を聞く商人こと王子さまに店主は言います
「王家御用達の仕立て屋がみんな良い生地を持って行ってしまったんだ」
「はて、それはどうしてさ」
店主は悲しく笑います
「この国の双子姫が毎日ドレスを作って贅沢してるからさ。国がこれだけ傾いているのに」
事情を理解した王子様は、今度は異国の仕立て屋に成りすましてみることにしました
『珍しい異国のドレスをぜひ双子のお姫様に献上したい』
言い分はすんなりと通り、お城に入った王子様は家臣の衣裳部屋の紹介に内心呆れました
いよいよ双子のお姫様に会い、異国で作ったというドレスに袖を通してもらいました
ところが
異国のドレスは双子の姉姫・ミシェル姫には胴回りがたぷたぷ
妹姫・ラシェル姫には袖がぴっちぴちと、全く採寸が合っていませんでした
ミシェル姫が顔を真っ赤にして怒ります
「どういうことなの! こんなたぷたぷなドレスははじめてよ!」
ラシェル姫は手先を真っ青にさせて怒ります
「痛いわ! こんなぴっちぴちの袖血が止まるわ!」
「「全く駄目じゃない!」」
二人は声をそろえて叫びます
そんな双子のお姫様を静かに見ていた王子様
スッと立ち上がり双子のお姫様に身分を明かしました
「双子姫。非礼は詫びます。しかし一度王家のバルコニーから双眼鏡で町を眺めてみなさい」
全く訳が分からない双子のお姫様は、とにかく言われた通りにしてみました
そこで驚きます
「何、あの女性。服がたぷたぷだわ。あんなにぶかぶかな恰好初めて見た」
ミシェル姫が呆然と呟けば
「みんな、サイズが全く合っていない恰好をしてるわ。一体どうして……」
ラシェル姫は驚きで言葉が続きません
異国の王子様は事実を双子姫に伝えました
そして諭しました
「オシャレをするのは良いのです。ですが何事も限度というものがあるのです」
そして
「この国の民に、お二人のオシャレの力を分けてあげてください」
と言いました
それから
双子姫のお姫様は改心し、王様と国民に謝りました
そしてその国の民は世界中から"国民から王族まで服がオシャレな国"として知られるようになったのでした
その後が知りたくありませんか?
ミシェル姫は異国の王子様と結婚し、可愛い子ども達をもうけ
ラシェル姫は異国の王子様の弟王子と結婚し、姉姫と同じく素敵な子ども達をもうけました
双子の姫は子どもたちに語ります
「何事も、限度というものがあるの」
と
〖めでたしめでたし〗
お読み下さり、本当にありがとうございます‼