お家に帰ろう
テクテクテクテク歩いているよ。おじさんのお手々と手を繋ぎ、森の中を歩いているよ。
お家に帰る為に情報収集をしていた僕。出会ったおじさんに聞いて此処が何処だかわかったよ。
「そっかー。はわいって言う島なんだね」
「そー。ハワイにほん人いっぱいいる。にほんご話せるわりと多いよー」
「おじさんもお上手。僕は日本語とエゾシカ語しかわからないんだ」
昔はアイヌ語を使ってたらしいけれど、今は人間さんを学ぶ為に日本語を使ってるって先生が言ってた。今でも使ってるアイヌ語もチラホラあるけれどね。
「どぶつのことばわかる。それすごいよー」
おじさんはハワイ語と英語と日本語と中国語と……うぅんと……。とにかく沢山の人間さんの言葉がわかるんだって!凄いね~。
人間さんっていうと、世界はとっても広くって、人間さんは住んでる場所によって言葉が違うんだって。とっても不便じゃないのかなぁ。僕だって迷子になって二番目に困っているのって言葉がわからない事だもの。一番目は勿論お家に帰りたい事だよ!
「メネフネさんも山に住んでるんでしょう?山の動物さんとおしゃべりしないの?」
「かんがえるなかったねー。メネフネ族、わりと人間と関わる多い。水路つくたりしてあげたのよー」
おじさんはメネフネさんっていう種族なんだって。人間さんからは妖精さんって思われてるみたい。世界って広いんだね~。僕ちっとも知らなかった。
そんなに広い世界の遠くの島に飛ばされちゃった僕。お家に帰れるのかなぁ。
思い出したらしょぼんとしちゃう。
「だいじょぶ。ひこーきのる。かえれる。にもつまぎれるといいよー」
「ほんと!?よかった~」
飛行機ってお空でキーン!って大きい音を立てて飛ぶ人間さんのお乗り物。何度も見たし空港も行った事あるから知ってるよ。僕もあれに乗れるのか~。んふふ!帰ったら皆に自慢出来ちゃうね!
帰り方がわかった今。折角だから観光して帰ると良いって言って貰ったからガイドして貰ってるんだよ。
「ここメネフネのまち。ひるまみんな寝てる。しずかにしてねー」
メネフネさんは夜にお仕事する事が多いんだって。だから昼間は寝てる人が多いみたい。おじさんは昼型で、たまたま僕を見つけてくれたんだ。見慣れない小人がいるってね。
「立派なお家がいっぱい。メネフネさんって本当に建築がお得意なんだね」
「ありがとー。ころぽっくるおうちたてない?」
「僕達は木を使ったお家が普通かな。石のお家に住む地域の仲間もいるみたいだけれど」
多分その辺は生活環境の違いってやつ。
はわいの環境は僕の住んでた所と全然違う。空気もあったかいし、人間さんの建物もどこか違って見えた。
「ほんとーはよるもみせたいだったけど、ひいらぎまだこども。おやしんぱいするしてるおもうねー」
「うん……。はやくお家帰りたい……」
おじさんは何処までも優しく手を繋いでくれた。
おじさんはおじさんのお家に案内してくれて、そこでお家に帰るのにはうんとお時間掛かるからって日持ちのするご飯を分けてくれたよ。だから僕もお礼に切り分けて持ってた木の実をあげようと思ったんだけれど、それは自分で食べなさいって。いっぱい食べて大きくなれよって言ってくれたんだ。
代わりに僕が来ているお洋服が気になるって言ったから作ってあげたよ♪おじさんパパより大きいから作るの大変だったけれど、とっても喜んでくれたから大満足さ!
準備が整ったら太陽さんが沈む前に空港に行こうね。
んふふ!よかった~。これでお家に帰れるねっ。