02詐欺師
ビービー
目覚ましの音で体を起こす。
本当は、目覚ましに設定している30分前には、いつも目が覚めてしまう。
訓練時代の癖だろう。
俺は、携帯を開いて昨日の依頼にYESの返信を送った。
次は依頼地の確認だ。
携帯のマップ機能を使ってベール島を検索してみる。
どうやらベール島はここイートン島から、飛行機で一時間ちょっとみたいだ。
俺は早速、飛行機に乗るためにホテルのチェックアウトをすませて、車を飛行場へ走らせる。
飛行場と呼ばれている場所についた。なぜ空港ではなくて飛行場と呼ばれているのか分かった気がした。
そこには、ただっ広いくさっぱらに一本の長いアスファルトが引かれているだけだった。そしてその横にはまるで付属品みたいに白い小さな建物と格納庫が建っているだけだった。
俺は飛行機の出発時刻を確認するために白い建物に向かった。
ガラガラ
ドアを開けるとそこには、いくつかの古びた青いベンチが置かれていて、部屋の奥には机をはさんで四十代くらいの丸メガネをかけた軍服を着た男が座っていた。
「どうしました?」
その男は俺に笑顔で話し掛けてきた。
「ベール島行きの飛行機に乗りたいのですが。」
「ベール島行きでしたら、あと一時間後に出発予定です。予定時刻は九時です。」
「あっなるほど。じゃあベール島行きのチケットを一枚ください。」
「五千ルーブルです。」
えっ嘘だろ。
ご、五千?
五千はいくらなんでも高すぎだろーーーー
この男一見優しそうな良い人にみえるが、もしかしたらやり手の詐欺師もしれないぞ。だとしたらさっきの笑顔は相手を油断させるための作戦だったのか…
ハッハッハ凡人は騙されてもこの俺は騙されんぞ
「おいあんた五千はおかしいだろ!おれはな前回ここに来た時半額以下の二千だったぞ」
俺はそういってノースランドからイートン島までのチケットを見せる
「しかもノースランドからイートン島の距離はイートン島からベール島までの距離よりも長い。どういうことだ?」
俺は笑み浮かべながら男に顔を近づける。
男から笑顔は消えていた。
「うーん、お客様こちらのチケットはノースランドからお乗りになった時に利用したチケットでお間違えないでしょうか?」
「あぁそうだ」
俺は自信満々に胸を張って答える。
すると男は静かに頷きながら
「お客様大変申し上げにくいのですが、今現在イートン島はアポロ帝国の占領下にあります。そのためノースランドとイートン島では飛行機のチケットの価格に多少の差が生じてしまうのです。」
うーん
多少の差って倍以上あるんだぞ
やっぱり、これはなにかがおかしい
ガラガラ
その時ドアが開いて一人の男が入ってきた。
男の顔は帽子でよく見えない。
軍服の男はその男に笑顔で会釈する
そうか!わかったぞ
この男はきっと軍服の丸メガネ野郎の仲間で
軍服の野郎は俺にぼったくりがばれそうだから応援をよんだにちがいない
その証拠に男のベルトの両側には銀色の短剣がぶら下がっている…
ん?いや待てよこの短剣どこかで見たことあるような…