子供の失敗は大人の責任
前回のあらすじ
ベル無双、そしてドラコの過剰攻撃。
ドラコの過剰攻撃による周囲の被害が大きい。だが当人は、その事を気にした素振りを見せていない。敵を倒した事に満足して、鼻歌を歌い喜んでいる。
その様子を見たベルは、怒鳴り声をあげながらダッシュでドラコに向かって行く。
「ちょっとドラコさん、やり過ぎですわよぉーーっ!」
「へぇ?」
「ハァ、ハァ、ハァ…………。まったくもう、手加減を早く覚えなさい」
「はーい!」
「ドラコさん、ブレス攻撃をご主人様の許可なく使用しては、ダメですわ!」
「ごめんなさ~い」
反省した様子を見せないドラコに、ベルが説教を続けていると、誠志郎を含めた他のモン娘たちが到着する。
ブレス攻撃で広範囲に焼失した森を見て、誠志郎は言葉を失う。
(えっ!? いや、その、えっと、何があったの? …………これは、ドラコのブレス攻撃だな。それにしても、威力が凄すぎだと思う。はぁ~、燃えた森の後処理を考えないと)
考え込む誠志郎を無視して、レイが怒気をこめた声でベルに話しかける。
「何があったのですか? きちんと説明しなさい!」
「ひっ!?」
本気でレイが怒っている事に気付いたベルは、必死で言い訳をする。
「私に責任はありませんわ! えっと、電飾付きの犬をバッタバッタと倒していたら、急にドラコさんがブレス攻撃を放ったのですわ」
「止める事が出来なかった、貴方が悪い!」
「えぇっ、そんなぁ~。止めるなんて無理ですわ」
2人が大声を出して言い合いをすると、恐怖で失神していたケットシーが目を覚ます。
状況が分からないケットシーは、キョロキョロと周囲を見回し、焼失した森の様子を確認すると、あごが抜ける勢いで絶叫した。
「なんじゃこニャーー!!」
誠志郎は考え事に夢中だったが、絶叫の声で我に返る。
燃えた森の事に気を取られ、ケットシーの存在に初めて気づいた誠志郎は、事情を訊くため近づいて話しかけた。
「えっと、俺の言葉が分かるかな?」
「ふニャ!? あなたは誰ニャ。もしかして、討伐隊のハンターさんニャ?」
(ハンター? よくわからないけど、雰囲気的に否定しづらいなあ)
頭を抱え震えていたケットシーが、誠志郎を見て安心したのか、泣きながら足に抱きついてくる。
「怖かったニャ、怖かったニャー! 護衛が雷狼に光って死ぬニャーー!」
「大丈夫、安心していいよ。もう危険はないから平気平気」
誠志郎は、パニック状態のケットシーを優しくなでて、落ち着くのを待った。
しばらくすると、何かを思い出したケットシーが慌てだす。
「そうニャ! 仲間の護衛たちが死にかけているニャ! ハンターさん、助けて欲しいニャ~」
ケットシーの指さす方を見ると、護衛たちの傍にいたきねとワンコが話しかけてきた。
「猫、心配はいらん。もうすでに治療済みじゃ」
「ニャ?」
「ニャ? ではありません。感謝の言葉を言うのが先でしょう。まったくもう、これだから猫は嫌いですね」
2人は護衛の治療を終えると、誠志郎の傍に歩いてくる。
(いつの間に治療したんだろう。手際が良くて、俺のする事が無い気がする)
次回予告 担当者、レイとワンコ
「今回、ドラコがやり過ぎましたね。まあ、彼女はスライム相手にイオナズ〇を使うタイプですから、驚きません」
「確かに、そうですね」
「それと、ベルはスライム相手にメガン〇を使うタイプだと思います」
「はぁ、もっと慎重に行動して欲しいですね」
「えっと、次回予告、猫に仕事を依頼されます」