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見敵必殺

 前回のあらすじ


 モン娘たちと異世界に来た。

 「ねえ、話があるから集まって!」


 雑談をしたり、周囲の様子を確認している者など各自、自由に行動していたが誠志郎の呼びかけに答え、集まってくる。


 「えっと、全員に謝りたい事があるんだ。実は、異世界に転移した原因なんだけど、俺の失敗が原因だと思う。…………みんなを巻き込んで、すみませんでした!」


 頭を下げ謝罪する誠志郎を見て、モン娘たちは驚きの表情を浮かべて戸惑う。


 一瞬、気まずい雰囲気になるが、すぐに微笑んだレイが優しく話し出す。


 「ご主人様、謝罪は不要ですよ。貴方様の傍に付き従う事こそ、私の使命であり存在意義でございます。向かう先が地獄であろうと、魔界であっても構いません」


 「おほほほ、その通りですわよ。ご主人様のためなら、火の中でも突き進みますわ。そう、ご主人様こそ正義!」


 「うむ、確かにそうじゃな。ふふっ、異世界転移と言うのも悪くない」


 「戦いは、ドラコに任せて!」


 「嗚呼、ご主人様と共に異世界へ来れた事、言葉に出来ないほどの喜びでございます」


 「異世界、平気、気にしない」


 「スイと同じ気持ち」


 明るく話すモン娘たちに囲まれ、謝罪した誠志郎の方が励まされた感じになる。


 (…………ゲームの中で苦楽を共にした時間は失われていない。良かった、みんなありがとう)


 「えっ、大変です! ご主人様、敵意のある生き物が向かって来ます。風の精霊が教えてくれましたので、間違いないです。どうしますか?」


 突然の襲撃をレイから伝えられ、誠志郎は判断に迷う。すると、ベルが大声を出して叫び出す。


 「一番槍は譲りません! さあ、突撃ですわぁーーっ!」


 「あぁぁ、ズルい! ドラコもぉーーっ!」


 止める間も無く、ベルとドラコが走り去っていく。


 残された者たちが呆れていると、ため息をついたワンコが誠志郎に話しかける。


 「ここは未知の異世界、何が起こるかわかりません。駄女神とドラコが心配ですから、追いかけた方がよろしいかと」


 「うん、そうだね。急いで追いかけよう!」


 「御意」


 「ちょっと待って、ご主人様の安全を確保しないとダメですよ。スイ、鎧に擬態してご主人様を守りなさい」


 「任せて」


 (俺の体かぁ。よく見ると、この体はゲームの主人公キャラだ。えっと、俺は主人公キャラに転生してから、異世界に転移した? まあ、どっちにしても弱い普通の人間だなあ)


 考え事をしている誠志郎の体にスイが触れると、一瞬でフルプレートアーマーを着た姿に変身する。

 

 「おっ、おぉー! 凄い鎧だな。しかも軽い」


 「ご主人様、スイの防御能力は完璧です。怪我の心配はありませんから、安心してください。それと、ライは馬に擬態してご主人様の足になりなさい」


 「わかった」


 「さてと、これで追いかける準備が出来ましたね。ご主人様、よろしいでしょうか?」


 「それじゃあ、みんなでベルとドラコを追いかけよう」


 「「はい!」」

 

 森の中をモン娘たちが爆走して行く、誠志郎は馬に擬態したライに乗って、必死に後を追いかけた。


 (あれ? 体が軽い気がする。確か、ゲームの主人公は18歳。だとすると、2歳くらい若返ったのかぁ。ちょっと、ラッキーだな)




 

 

 絶望の森。


 薄暗い森の中を、1匹のケットシーが悲壮感を漂わせながら歩いている。


 彼の周りには、周囲を警戒する屈強な護衛の男10人がいた。


 「怖いニャ、怖いニャ~。膝がガクブルだニャ~」


 「ケットシーの旦那、俺たちが護衛しているから、もっと安心していいんだぜ!」


 「そうニャンだけど。ここは絶望の森ニャ、規格外の危険度なのニャ~」


 「俺たちのチームは、熟練(じゅくれん)ハンターだってこと、忘れたんですかい?」


 「忘れて無いニャ。だけど、この森では熟練(じゅくれん)ハンターの上位クラス、精鋭ハンターでも苦戦する魔物がいるニャ~。不安だニャ~」


 「あははは、それは都市伝説で、んっ!? あっ、敵襲だぁー!」


 「総員、迎撃態勢!」


 魔物の気配に気付いた護衛たちが、護衛対象のケットシーを中心に円を作り、全方位からの攻撃に備えた。


 すると、木々の間から雷を身に(まと)った30頭の狼が現れる。


 「雷狼ニャー! ヤバイニャ、ヤバイニャ。もうお終いニャー!」


 パニックになるケットシーを無視して、戦闘が始まった。


 護衛たちが攻撃するよりも早く、複数の雷狼から稲妻が放たれる。


 雷の速度は、人間が回避できるレベルではない。そのため、護衛たち全員が雷攻撃を受けてしまい、地面に倒れ伏す。

 

 死者は出なかったが、麻痺の状態異常が深刻で戦闘は不可能と思われる。


 頼みの護衛が鎧袖一触(がいしゅういっしょく)で倒されたのを見て、ケットシーは腰を抜かし泣き出す。


 「猫は美味しくないニャー! だ、だれか助けてニャー! …………フニャー!!」


 獲物が動けない事を確認した雷狼たちは、止めを刺すために近づいて行く。


 その時、森の中にベルの大声が響き渡った。


 「見敵必殺ですわ!!」


 突然現れたベルに雷狼たちが驚く、その瞬間をベルは逃さない。一瞬で3頭の雷狼を切り捨てる。


 「あらまあ、電飾付きの犬ですわね。パレードでもするのかしら?」


 「グルルルル!」


 「おほほほ、敵は殲滅(せんめつ)ですわぁぁーーっ!」

 

 ベルは、剣を握りしめ気合を入れると、地面に穴が開くほどの力強い踏み込みで突撃して行く。





 次回予告 担当者、きねとワンコ


 「おや、美味しい匂いがするのう。何を食べているのじゃ」


 「緑のた〇き」


 「ふむぅ、我は」


 「赤いきつ〇が食べたい。そうですよね?」


 「そ、そんなことは無い」

 

 「あら、赤いきつ〇を用意していたのですが、食べませんか? 油揚げ抜きですけど」


 「なんじゃとぉーー! ワンコ、正座! 我の話を聞くのじゃ。そもそも、赤いきつ〇とは」


 「次回予告、駄女神とドラコが大暴れです」


 「こら! 我の話は、まだ終わっとらん。最後まで聞け、良いな?」


 「はぁぁ~~」

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