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古い友人からの手紙

 前回のあらすじ


 お風呂で騒ぎすぎて、怒られた。

 露天風呂騒動から約1か月後。


 火災と豪雪によって、滅茶苦茶に破壊されたキャンプ地は、何とか元の姿を取り戻していた。


 討伐隊のハンターたちは、復旧作業を終えて狩猟の日々に戻っているのだが…………。


 魔物ではなく、フレアは大量の書類と戦っている。


 キャンプ地を全壊させた事で、物資調達や国との調整など事務仕事が激増し、ここしばらく仕事机から動けない毎日だった。


 ────昼を少し過ぎた頃、事務仕事担当のエルフ女性が書類の束を抱えて、隊長用テントにいるフレアを訪ねてくる。


 「失礼します。────フレア隊長、本日の嘆願書を持って来ました。それと、裁決の必要な書類がありますので、確認をお願い致します」


 「…………うむ、苦労。入れ!」


 エルフ女性が、隊長用テントに入って来るとフレアの近くに歩いていく。


 「隊長、お疲れ様です。こちらの書類ですが、今日中に採決をしてください。…………可能ですか?」


 「あぁ、大丈夫。えっと、そこに置いてある書状の確認を頼む」


 「あ~、はい、分かりました。────では、隊長、これで失礼します」


 エルフ女性は、書類が山積みされている事務机に、持ってきた嘆願書などを静かに置き、頼まれた書状を持ってテントを早足に出ていく。


 1人になったフレアが、増えた書類の山を見て、がっくりと気落ちしながら愚痴を言う。


 「はぁぁ~~、終わらない。やっても、やっても終わらない。何故だ? 事務仕事…………。飽きたなぁ~」

 

 連日の徹夜でフレアの顔色は悪く、目元にくまが出来ていた。すっかりやる気を失った彼女は、机の引き出しから菓子を取り出し、ポリポリと食べ気分転換を始める。


 しばらくの間、菓子を食べて現実逃避をしていたが、このままでは何も解決しないと思い、嫌々ながら書類を手に取った。


 「…………ふむふむ、エバンからの嘆願書かぁ~…………」


 嘆願書


 森の奥地周辺で、強力な新種の魔物が発見された。その対策として、新魔法の研究を始めたい。


 研究費用、金貨2千枚と大型サイズの魔石3個を求む。それと、新しい実験場を作って欲しい。


 重要な研究であるため、可及的速やかに用意してくれる事を願う。


 エルフ族のハンター代表、エバンジェリン・グスタ・リリーシャ。



 「なるほど、悪くない話だ。新種対策は急がないと危険だからなぁ…………。しかし、あいつら遠慮がないな。既に3つ実験場を爆破しているのに、また新しい実験場が欲しいのか? ────却下!」


 眉間にしわを寄せたフレアが、金色の髪をかきあげながら思案をした後、嘆願書に『研究を許可するが、実験場の新設は認めない』と赤字で大きく書いた。


 「えっと、次の書類は…………」



 要望書


 酒が無い、直ぐに大樽で10個以上、大至急用意しろ。


 オーガ代表、ゴオキ。


 「チッ、もう飲み尽くしたのか? はぁ、オーガの連中、酒が無くなると暴れ出すからなぁ~。しょうがない、最優先事項にしよう。…………よし、次」


  

 状況報告とお願い


 隣のテントで生活している、人間夫婦ハンターがうるさいです!


 特に夜が酷い。朝まで、ずーーっとイチャイチャしてます!


 独身の俺にとって、地獄の様な日々です。何とかしてください、お願いします。


 それと、街に行く許可と娼館で遊ぶお金が欲しいです!


 獣人族モッチョオー


 「却下! こんな事くらい、個人的に解決しろ! まったく、何でも私を頼るな、バカめぇ! はぁ、次は…………」



 お願い


 前略、中略、後略。


 人斬りたい! 魔物を斬るのは飽きた。人斬りたい! 人斬りたい!


 とにかく、人斬りたい!


 「あぁ、これは連続殺人鬼のザッパーかな? ふむ、不味いな。殺人衝動が抑えられないかぁ~。強者だから見逃していたけど、そろそろ限界だな…………仕方ない、消去部隊に連絡しよう。えっと、次は────あれ? この刻印」


 採決済みの書類を机から退かしていると、王家の紋章が刻印された書状を見つける。


 王室からの連絡は最優先事項。そのため、慌てて書状を確認すると────


 フレアは驚き過ぎて、顔から血の気が引くのを感じた。


 書状の差出人として書かれていた名前、キャラット王国第1王女リーシエッタ・コルネス・キャラット。


 通称、リコ姫と呼ばれる彼女は、フレアと同い年の古い友人であり永遠のライバルでもあった。


 12歳の時に初めて出会い、1年間共に剣を学んだが、この時からフレアはリコ姫が苦手だった。


 なぜか、それはリコ姫の戦い方が酷すぎるから。


 勝てば官軍負ければ賊軍、勝利のためなら何でもする。それがリコ姫の考えで、反則で卑怯な戦い方を得意としていた。


 リコ姫との練習死合でフレアは、何度も重傷を負った。もちろん、リコ姫も何度も何度も重傷を負う。


 そんなふうに、血みどろの戦いを繰り広げたせいで、リコ姫の存在はフレアにとってトラウマだった。


 その彼女から書状が届く。


 嫌な予感しかしない、とフレアの心が沈んでいった。



 


 


 


 

 



 



 

 

 


 

 


 


 

 

 

 次回予告、レイ


 「読者の皆様、今年一年ありがとうございました。年末のため、次回は1月1日になります。来年も頑張って書きますので、よろしくお願いいたします。コホン、では、次回予告、『猛虎の来訪!』です」


 

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