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Soul overlay  作者: 546 nm
1/15

娘に捧げる親心

01:


「助かったことにはきっと意味がある。成すべき何か大切なことがあるよ」


幼少のころ、私はいわゆる難病を患っていた。のちに聞いた話だが、20歳まで生きれる可能性は極めて低かったそうだ。そんな私が今日まで健康で生きてこられたのは、幼児への適用が認められておらず、失敗すれば自分の立場を危険にさらす恐れを顧みなかった主治医の先生と、莫大な借金を背負う可能性にも一切の戸惑いを見せなかった両親のおかげに他ならなかった。

退院の際、両親と先生からかけられた言葉は奇しくも同じだった。

「助かったことにはきっと意味がある。何か成すべき大切なことがあるよ」


自分の生に意味を見出している人は果たしてどの程度いるだろうか。

「世界を救う」などという壮大な使命を背負う様な人もいるかもしれない。自分のセンスを生かし、道を究めることに心血を注ぐ人もいるだろう。或いは、没頭できる趣味に生き甲斐を感じる人も。

とても素敵なことだと、素直に思う。

一方では、日々を淡々と過ごす人も多いだろう。眼前に広がる無数の可能性から偶然-或いは必然に-選んだ選択肢に沿って人生を全うする、まさに人生ゲームと言えよう。多かれ少なかれ存在する人生の波に、まるでジェットコースターのようなスリルを味わいながら、生きている実感を得る。

果たしてどちらが幸せか、なんて人それぞれだと思う。その道の探究者であっても、望んでそれを選んだとは言い切れない。


果たして私はどうだろうか。自分も同じように苦しむ人を救いたいと思った頃もあったが、医学の道は解剖学で挫折した。どうも生き血は苦手だったらしい。子どもの夢とは時に無責任だと思う。

最終的に企業の研究職に就くことができたのは幸いだったが、果たしてこの選択が正しいものなのか、「成すべき何か大切なこと」に繋げられるのか、勿論私にはわからなかった。


孫の顔を親に見せることができたのは幸いだが、何か自分にしか出来ない使命などという崇高な生き甲斐は...いや、命をつなぎ、家族を守ることこそ私が果たすべき最低限の使命だろう。「世界を救う」レベルに比べれば甚くスケールの小さい話だが。


--------------


無数の選択肢には、途方もなく幸運なものもあれば、果てしなく不幸なものもあると思う。

偶然買った宝くじで億単位のお金を手にする可能性もあれば、黄色信号で無理に渡ったが故に事故死してしまう可能性もある。人生が選択の連続であることは間違いないが、一度でもJokerを引けば即終了するゲームなんて、デメリットの大きさばかりが目立つ。それでも人生ゲームの流行は終了する様子を見せない。実際問題、誰も自分がJokerを引くとは思ってもいないからではないだろうか。

ただ、実際にはハインリッヒの法則というものがあるらしい。技術系ではよく聞く話だが、「1件の重大事故の背景には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背景には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハットが隠れている」というものである。Jokerとのニアミスは意外と日常的と言えよう。


などと、私は私を見下ろしながら、半ば呆れにも似た感情を抱いていた。そう、私は引いてしまったのだ。不思議と自分が置かれている状況はすんなり理解できていた。心疾患か消化器疾患か、脳疾患か。要は急死してしまった様だ。急死というJokerの背景には過労があり、その背景には睡眠不足や不摂生など沢山の異常が考えられるが、こんな体験学習は御免こうむりたい。だが、死んでいるはずの私が第三者的視点で思考できているということは、霊体の存在を裏付ける決定的な証拠と言えよう。研究者としては世紀の大発見だが、残念ながらそれを伝える手段は、もうない...


いや問題はそこではないだろう。

もう家族に会えないのだぞ。仕事疲れなぞ一瞬で吹き飛ばしてくれる笑顔をもう見れないんだぞ。家族は誰が守る?子どもは?祖父母に転職した両親は?こんな別れが、あってたまるか。元々説明書は見ないタイプの人間だ。Jokerを引いたら即終了なんて、私は聞いていない。嫌だ。死にたくない。まってくれ。


特定の宗教を信仰していない私は、死後どこに行くか検討もつかないが、少なからず現世には留まれない様だ。視界が段々と暗くなってゆく。ああ、これが死というものなのだろうか。薄れゆく意識の中、最期に思い描いたものは幼い娘の屈託のない笑顔だった。

もっと遊んでやりたかった。もっと育ててやりたかった。もっと一緒に過ごしたかった。

ごめん、ごめんなさい。



--------------------------



私は、春が好きだ。

ほのかな陽気と優しい日差しは、寝起きが悪い私であっても心地よく引き起こしてくれる。小鳥たちのさえずりや、風に揺られる新葉が奏でるメロディーは、無機質な時計から鳴り響くアラームとは違ってゆるやかな目覚めを提供してくれる。そろそろ目覚めないとならないか。


「んん...っ」


腕を挙げ、伸びをする。心地よいテンションを感じるが、頭の靄はまだ晴れない。寝ぼけているのだろう。普段の癖というべきか、私は寝起きざまに昨日の重要事項と本日着手すべきタスクを整理するようにしている。はて、昨日私は何をしていただろうか…



ずきん



脳裏に娘の笑顔が浮かぶと同時に言い知れぬ頭痛に襲われた。目が覚める以前の出来事が、走馬灯の如く駆け巡る。あぁ、私は死んでしまったのだった。えも言えぬ苦しみ、悲しみと同時に、違和感に気づく。ここはどこだ?なぜまだ意識がある?ひょっとして息を吹き返したのか?凡人の脳みそが急速に回りだす。ここはどこだ、一体どういう状況だ。確認しなくては。


ベッドから飛び起きた私は、更なる違和感を覚えた。やけに体が軽い。視界も低い。

周囲を見渡す限りここは個室の様だが、家族の部屋とは明らかに違う。いや、娘の部屋に近い雰囲気はあるだろうか。まぁ良い。まずは違和感の正体だ。幸い、部屋の片隅に姿見を発見したので、これで確認しようと歩を進めた。


一歩、二歩


やはりおかしい。明らかに歩幅が狭く感じる。


三歩、四歩


悪い夢でもない限り、確かに私は死んだはずだ。なのに今、声や体に質量を感じている。


五歩、六歩


輪廻転生、そんな言葉が脳裏をよぎる


七歩


姿見の前に到着したであろう私は、無意識に目を閉じていた。比較的強く。

過去例をみないほど短時間で脳をフル回転させた私は、実に非科学的考察に至っていた。間違いであってほしいという願いからだろうか。眉間にしわすら寄っている感覚があった。

しかし、目を開けない限りは真実は知りえない。目を開けるだけでよいのだ。

手のひらに感じる汗を服で拭いながら、半ば自分に言い聞かせるように私は両の眼を見開いた。



鏡には、ただ一人、推定十余歳の女の子が映っていた。



------------------



今となっては前世というべきだろうか。

アニメや漫画は比較的好きな方だったため、「そういう設定」に関する知識はあった。現世で亡くなった人が、特殊な技能を持って異なる世界で活躍する。要は異世界転生だ。まさか自分の身にその様なことが起こったと、にわかには信じがたいが事実は事実だ。


異世界転生を題材としたストーリーはさまざまに創作されており、私のようなケースも既に広く(?)知られているかもしれない。不幸なのは、チュートリアルなどという気の利いたイベントはなかったということだろう。おかげで私は今自分が置かれている状況の整理が追い付いていない。ここがどういう世界であるか、これからどうやって生きていけばよいか。そのあたりは後回しにしよう。


溜息をつきながらも、改めて鏡に映った少女をみる。

身体のつくりは人間のそれと同じようだ。急に背丈が縮んだという点はさておき、動作範囲に違和感はない。ホモサピエンス、或いはそれと同じ特徴を有する生命体と見て問題ないだろう。


ただ、この少女にはそれ以上の懐かしさを覚える。比較的大きな瞳。さらっとした長い髪。結んだ口の口角。年のせいもあるだろうが、比較的小さい鼻…


あれは同じく、長かった冬が明け、ようやくコートを脱げるようになった頃だった。

妻の出産予定日が近づき、緊急コールに備えて仕事中でも常に携帯を握りしめていた。特に今日は嫌な予感がしてできれば有給を取りたかったが、お前の趣味は仕事だろうと妻にも同僚にも称される社畜は将来の子どものミルク代を稼ぐために仕事着にそでを通していた。


その日は研究テーマの進捗報告会があった。発表者である私は念のために、緊急の際は会議を抜ける旨を上司方へ伝えていたものの、コアタイム8時間の内たかだか30分の間にそれが来る可能性はけして高くないだろうと高を括っていた。


起こってほしくないときほど、それが現実に起きてしまう。いわゆるマーフィーの法則と呼ばれるユーモア。プレゼンの進みからして、開始5分と経っていなかっただろう。普段はメッセージ受信を知らせる1回分のバイブレーションしか発さない怠け者が、震え続けていた。会議中は発表者しか口を開かないため、マナーモードのバイブレーションであってもとても目立つ。誰だ、こんな時に電話を掛けるのは。


「失礼しました。」


一応平静を装い、コールを切るべく胸元の携帯に手を伸ばした私は念のためにその画面をちらと見た。


『産婦人科』


SNSによるコミュニケーションが主流と言える現代において、仕事用携帯以外でアドレスを手打ち登録する機会はそう多くないだろう。出産予定日が近づき妻に言われてようやく登録した番号が、プロジェクター用に薄暗くした部屋で煌々と映し出されていた。


「すみません、でます」


根回ししておいてよかった。一瞬上司の目を見てそう告げた私は、発表スライドが映し出されている最中、発表時よりも震えた指で受話ボタンを押していた。半分気が動転している私に比べて実に慣れた口調の産婦人科からは。陣痛が始まった妻が自力で病院まで来たという内容を伝えられた。


「すぐ行きます」


第一子ということもあり、こういったイベントに慣れていない私は反射的にそう返して電話を切った。

陣痛が始まってから出産に至るまでには10時間以上要することが一般的だが、比較的陣痛間隔が狭くなるまで自宅で耐えていたらしく、一刻の猶予もならない。定期的な社内報告会と母子との対面、どちらを優先するかなんて火を見るよりも明らかだった。


「会議中申し訳ありません。妻が...」


それでも最低限の体面は守ろうとする辺り、私も社会人なのだろう。ここで評判を下げようものなら将来設計に係わってしまう。状況を簡単に説明し、途中退出の許可を得よう。


「はよ行け」


普段、なかなか勢いよく愛の鞭を振るう上司から、たった一言そう告げられた。まだ報告にも入っていないが、これぞ根回しの成せる業と言えようか。感謝の意を述べ、足早に会社を後にした。


運よくタクシーに乗れた私は言葉少なに行先だけ告げ、これから何をすればよいのか、必死に考えていた。痛みを肩代わりすることなんて出来ないし、医学的にサポートする知識もない。ああ、何て使えない奴だ。せめて隣で、つかまり棒くらいにはなろう。


追加の電話がないことから、状況は変わっていないのだろう。病院に着くころには幾分落ち着くこともでき、冷静に窓口で名前を告げて個室に通して貰った。間に合って本当に良かった。


それからの話は実に生々しいのでここでは割愛しようと思う。幸いと、ごく一般に知られる自然分娩だった。しっかりとつかまり棒としての役割を果たせた私の腕や手のひらには、妻の爪が食い込んだ痕が紫色に変色していたことだけは付け加えておきたい。


「んぇええええ...っ!!!」


文字に起こせばこんな感じだろうか。この世界に来て初めて発してくれた声を、私は一生忘れない。いや、「忘れなかった」の方が正しいか... 母子ともに健康で、本当に良かった。一通りの処置を済ました私たちは、新しい家族を無事個室に迎え入れることが出来た。


はじめまして、こんにちは。よく頑張ったね。

数多ある可能性の中で、奇跡ともいえる確率を乗り越えて、よくここまで来てくれたね。

これからどうぞよろしくね。君の名前はもう決めているんだよ、お母さんと、一生懸命考えたんだよ。

受け取ってくれるかな、気に入ってくれるかな。



---------------



「は...づき...」



最愛の娘の名前を、死してなおもう一度口にできる日が来るなんて。

最愛の娘の顔を、死してなおもう一度その目に映す日が来るなんて。

最愛の娘の声を、死してなおもう一度聞くことが出来る日が来るなんて。



「ひっ...ぐす....っ....ぇ...っ...」



鏡の中の娘は、大粒の涙を流していた。

あぁ、そっくりだ。間違えるわけがないだろう。この子は、私の娘だ…

この時ばかりは、神の存在を信じざるを得なかった。もう一度娘に合わせてくれてありがとう。声を聞かせてくれてありがとう。




「ひくっ...ぐす....っ」



どれほどの時間が経っただろうか。ようやく気持ちが落ち着いてきた私は、泣きはらした真っ赤な目をした娘の姿を、もう一度鏡越しに見ていた。相当気が動転していた為考えに至らなかったが、状況から察するに、私は愛娘と全く同じ姿、声をしたこの子に輪廻転生したことになる。


先にも確認したが、歳は十余年と推定される。つまり、すでに幾分成長している。

では、私が私として意識を有するより以前はどうだったのだろうか。私一人の為に作られたファンタジーだと言うならば話は別だが、おそらくはこの子もこの世界に生きる住民の一人であったに違いない。この子は一体何者なのだ。この子の意識は一体どこへ行ってしまったのだ。

四十手前の男が、十余歳の娘に生まれ変わるという、他人事として見れば非常に興味深いイベントだが、実の娘とあまりにも似ている分親心が勝ってしまう。


急激に不安が募りだした私は、幾分申し訳ない気持ちになりながらも室内の捜索に入った。

机、タンス、ベッド、クローゼット、姿見、あとはアクセサリーと思われるアイテムが幾つか掛けられていた棚。作りや雰囲気は生前見ていた家具の類よりも幾分自然実溢れた造り、即ち塗装や装飾の類が施されていないどこか古めかしい印象があったが、いずれも理解に苦しむ構造物ではなかった。


「ごめんなさい、開けますね」

一応断りを入れ、机の引き出しに手をかける。中にはいくつかの書類や書物、筆記具の類がきれいに整理されているだけだった。あることが気になっていた私は、最初に目についたノートらしきものを手に取った。

そう、言語体系である。創作話では、ご都合主義的に言語体系が同じであるか、何らかの特殊能力によりその土地の言語能力を取得しているパターンがあったことを思い出していた。前者であればまだしも、チュートリアルすらなかった私に、何か特殊能力が宿っているとは思い難い。英語の習得ですら苦労したのに、通訳すら存在するか分からない世界での第三言語の習得イベントはできれば避けたい。


恐る恐るページをめくると、そこにはよく見慣れた形状の文字が並んでいた。ざっと目を通した限り、この子の日記らしい。ああ、筆跡すら似ているではないか。またしても頬を伝う水分を感じたが、今はそれどころではない。一刻も早く状況を明らかにしたかった。



一通りの書物に目を通し終えたころには、すでに日が傾き文字が読みにくくなっていた。

勤勉でこまめな子なのであろう。この世界の仕組みをある程度は理解できる程度の知識と、自身に関する情報がそろっていたのは幸いだった。それぞれ、まとめると以下となる。


[世界の仕組みに関する情報]

* 現代社会のような法治国家というよりは、国王による人治国家に近い

* 現代的な科学技術に関する記述はなく、魔法という概念が一般的に支配している

* 暦や貨幣の概念は同様に存在する。奇しくも、地球と同じく太陽に相当する光源があり、365日で季節が一周する様だ。

* しかし平和というわけではなく、獰猛な動物や人に害悪をもたらす妖魔の類が一般に存在している


端的に述べれば私の知る創作話と似たものであり、ヒエラルキーにおける人類の地位は頂点で胡坐をかけるものでは、けしてないことを意味する。


[この子自身に関する情報]

* 名前はアリシア。アリシア・フローレス。歳は16らしい。私の死亡時点における娘の実年齢より上か…

前世で16歳と言えばまだ高校に上がったばかりというところだが、こちらの世界では一端の大人と同じ扱いらしい。元服が行われていた時代と同じようなものだろうか。

* この世界におけるいわゆる魔法学校を卒業しており、電気操作に明るいらしい。

* 2年ほど前に、魔物の襲撃に遭い両親を亡くしている。

* 現在は片田舎で親の遺産を元手に慎ましやかに生活している模様。



たったひとりで、よく頑張っているとしか言いようがない。頼る親戚は居なかったのだろうか。

この子の身の上を案じながら残り少なくなった日記のページをめくっていったが、ぴたと手が止まる。どうもある時期から病に伏すことが多くなっているようだ。


日に日に記述が少なくなる。どう考えても、風邪の類ではないだろう。

痛い。苦しい。起き上がれない。助けて、お母さん、お父さん。

壁にかかった暦表と照らし合わせると、最後の日記は昨日書かれたものだった。


怖かっただろう。苦しかっただろう。寂しかっただろう。辛かっただろう。碌に医者にも診てもらっていなかったのか。まだ16歳だぞ。親が守らずに誰がこの子を守るというのだ。そっとノートを閉じた「私」は、ぽたぽたと溢れる涙を止めることができなかった。




------------------------



あれからどれ程の時間が経過しただろうか。とっくに日は沈み、明かりのない部屋は闇に包まれていた。雑音のない環境は、精神集中と思考の活性化に役立つ。「私」は膝を抱えたまま床に座り込み、しばらく状況を整理していた。


魔法が存在するこの世界で、親を亡くしてたった一人で頑張っていた娘が、ある日病に伏せてしまう。おそらくは耐え難い苦しみのなか、他でもない両親に助けを求めて祈り続けるしかできなかった。ここまでは事実だ。では何故今この子の体に、異世界の人間である私が憑依しているのだろうか。


世の中には、自分と同じ顔をした人間が3人は居るといわれている。人間は60億の塩基対から成るDNAによってコードされており、身体的特徴はもちろん、性格ですら少なからずこれに影響されているといっても過言ではない。子どもの顔が親に似るのは、親から遺伝子を受け継ぐからである。母数が77億も居ることをか考えれば、そのうち3人くらいは同じ顔をした人間もいるだろうという有名な理論である。我が子と同じ姿をした人物がいてもおかしくはないだろう。ここから先は私の持論に過ぎないが、姿が同じ娘が居るということは、その親の遺伝子も近しいものがあるとも考えられないだろうか。つまり、この子の両親もまた、私と妻に似ている要素があるのかもしれない。


この子が今際の際で両親に救いを願った丁度そのころ、別世界の私が死んでしまった。

この子の願いが私を引き寄せてしまったと考えるのは、魔法が存在するこの世界であれば的外れでもないやもしれない。私は既に、この子を他人とは思えなくなっていた。



「助かったことにはきっと意味がある。成すべき何か大切なことがあるよ」



両親と主治医の言葉を思い出す。助かったかどうかは分からないけど、成すべき何か大切なこと、やっと見つけたよ。 私は絶対、何があってもこの子を救い出す。自分のすべてを掛けてでもこの子に魂を返す手段を見つけ出す。魔法があるんだ、きっと手はある。



娘の体に憑依した異世界父親による、娘の魂を救う旅を描いた物語が今始まった。

この度は、稚拙な文章にも関わらずお目通しの機会を頂戴し誠にありがとうございました。

はじめまして、子育て真っ最中の父親です。平日はもちろん、休日であっても自分の時間なんて碌に持てない今日この頃ですが、ふと思い立って筆をとってみました。


特に小さい子どもは親の言うことなぞ聞く耳も貸さず、良くも悪くも自由奔放に生きているかと思います。それがまた可愛いのですが、もしこの子を直接的にコントロールすることができた場合、私はどのように振る舞うだろうかなどと妄想を膨らませております。

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