31話
俺を物凄い爆風が包む。
凄い、熱い。そして、痛い、心が。
こうなる事は分かっていた気がする。
多分彼女は自分が魔法をかけられている事に気づいていなかったんじゃないかな。
『あばよ、ミズキ』
その声に、えっ?という声を漏らしていたから。
俺は、逃げようと思えば逃げれた。しかし、目を閉じたまま動かなかった。
仲間に裏切られて利用された彼女を一人で死なせるにはあまりに残酷過ぎだ。
何も知らずに一人で死ぬくらいなら俺も一緒に死ぬ。俺は、そういう人間でいい。
どっかの幼馴染が聞いたら、後頭部どつかれそうだけど俺は、国の為に名演技を見せた彼女に拍手を贈りたい。
本気でそう思っている。
目を開ける。辺りは真っ暗だ。何度か見た景色だな。
『オートスキル発動。輪廻転生。耐人間爆弾。』
「そっか、俺生き返るんだったな。」
俺が居た部屋は黒焦げになっており、ベッドも大型テレビもベランダの窓もすべて吹っ飛んでいた。
耐魔法用に作られた建物だけに崩壊はしていない。が、その真っ黒になった辺りを見ただけで爆弾の威力が凄まじいモノだと分かる。
「クソッ。」
目の前の灰を掴んだ拳を握りしめて俺は、囁いた。
味方の命と引き換えに勝利を掴んだって俺は嬉しくない。
そんな考えすら俺には思いつかない。
汚い色した髪の幸四郎をこの拳で1回殴らいと気が済まない。