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28話

「おい、ゆい。俺達も行くぞ。ここに居ても意味がない。」

「そうだね。」

そんな悲しい顔をするな。俺ともっと2人っきりで居たいんだろうが仕方がない。この戦争に勝利してから、2人っきりの時間を楽しもう。 



エレベーターから降りてきたのは3人。その3人全員に見覚えがあったのには、驚いた。


俺とゆいがその場に着くとオートロックの扉を挟んで両国向かい合っていた。

良かった、まだ戦闘にはなっていない。


そこには、見覚えのある、赤い髪の男と青い髪の男が立っていた。


「おお!来たか!変態リーダー!まさかここであの時の仮を返せるとはな!俺も運が良いぜ。」


たしか、コイツは幸四郎とかいった名前だったな。

仮があるのはこっちだ。俺らの学校メチャクチャにされた仮をまだ返しきれてない。


「お前、まだ生きていたのか?」

隆史が挑発するように問いかける。

その問に、幸四郎は中指を立てる。


「まあ、落ち着けよ。幸四郎。」

幸四郎の後ろから、幸四郎の肩に手を乗せる人物がいた。

暗くてよく見えなかったその人物は前に出てきた事によりはっきりした。そして、その人物を見て驚いた。


「一ノ瀬先生?」

みなみも凄く驚いた表情をしている。

多分人違いではないだろう。俺達の高校の教師が目の前に立っていた。俺のクラスの担任ではないが当然話した事は何度かある。別に親しいってわけではない。

まぁ、親しいと思える先生なんて居なかったけど。


「久しぶりだね、みんな。また会えて嬉しいよ。」

タバコに火をつける一ノ瀬先生。

女子生徒から、イケメン先生と人気の一ノ瀬先生。そんな一ノ瀬先生が低音のイケボで話し掛ける。

先生はたしか、25歳。制限年齢ギリギリなのか。

優しい口調ではあるが、どこか気味が悪い。


「先生がリーダーなの?」

「そうだよ、みなみ。そっちのリーダーは誰?」

教えんなよ!みなみ。

いや、待てよ。幸四郎は知ってるよな、俺がリーダーだって。先生には教えてないのか?


「じゃあ、学校を壊すように指示したの先生?何で?」


「君らのリーダーなんてどうでも良いんだけどね。その通り。僕が指示した。」

吐き出した煙が中に漂って儚く消える。


「何故だ?早く答えろ。」

隆史の目付きがどんどん鋭くなって一ノ瀬先生を貫く。


「怖いね、生徒会長。僕は教師だが生徒が嫌いだ。それだけの理由さ。何か文句あるかい?」

文句大アリだ。しかし、随分余裕のある喋り方に腹が立つ。


「生徒が嫌いなのに、教師になったの?」

みなみの表情にも怒りが見えてくる。

「正確に言うと、教師になって生徒が嫌いになった。僕が描く教師道と現実の教師生活はあまりにも違い過ぎだ。立場的に言えば、教師の方が生徒よりも上だろ?生徒は教師を敬うべきだ。だが、君達は違った。教師と生徒を同等か、生徒の方が上だと思ってる奴もいたな。僕はなんの為に教師になったのか分からなくなったよ。ここまで話せば充分かい?」

 

充分どころか全く理解出来ないんだが。


「それは、貴方の理想像だ。現実は理想通りには行かない。大人の貴方なら理解出来るのでは?」

隆史の目付きは、鉛筆削りで削られて行くように鋭くなって行く。


「良い事言うね、生徒会長。と言うかこの会話自体どうでもいい。これはゲームなんだろ?僕が教師であろうがなかろうが関係ない。1つ言っておく。僕の国は君達の国を倒す。僕が君達の教師って言う理由で戦えないっていうなら、今すぐ降伏してくれ。無駄な体力は使いたく無いんだ。」


「戦えないなんて一言もいってねぇーよ。俺達の国がお前の国を倒す。それだけだ。」

リーダーの俺がここは、ガツンと言うべきだと思って、生まれて初めて教師にタメ口を使った。しかも、お前とか言ってしまった。


「君は誰だい?うちの学校の生徒かい?」

覚えてねーのかよ、恥ずかしーな!

違う学校の生徒が一人いるがそれは俺じゃなくて霞だ。


浩二がどんまいと、肩を叩く。


「まぁ、頑張ってよ。僕は屋上でのんびり待つよ。僕が本気出したら一瞬でゲームが終る。そんなの面白くないだろ?僕の部下は手強いよ。じゃあね。」

タバコを投げ捨て、コチラに手を振りながらエレベーターに一人で乗り込んで行く。


「くそっ!待てっ!こら!」

扉をドンドン叩くが一ノ瀬先生は振り返る事なくエレベーターで上へと上がって行く。


「クソッ!あの反面教師。覚えてろよ。」

「あんた、覚えられてなかったじゃない。ていうか、何でここに大ちゃんがいるの?見張りは?」


なんで俺の事覚えてないんだよあのアホ。


「アジトにいても意味ねーだろ。おい!あいつずっと中指立ててるぞ。」


幸四郎は、スマホをこちらに向けて魔法発動のボタンをタップする。


「気をつけろ。魔法撃ってくるぞ。」


5秒後に俺達の足元が円状に赤くなって行く。瞬く間に蒸気を出しながら熱くなり、やがてマグマ化した。


「アツッ!アツッ!アツッ!」

俺は、片足、片足上げては下ろしてを繰り返していた。少しでもじっとしていると完全に溶けてしまう。


「あんた何してんのよ!早くそのサークルから出なさいよ。マグマになってんのはそのサークルだけなんだから。なんでそんなとこで、体操してんのよ。」


体操ではない、必死に生きようとしているのだ!

みんなより少し反応が遅れた。どうしよう、こっから動けない。


靴の底は溶けてなくなり、足裏の皮膚も焼けている感覚がある。 







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