21話
浩二がダッシュするのを制止しようと足を掛ける。
「どわっ!」
浩二には、悪いがそこで寝ててくれ。お前はまだ体力が回復していない。
俺と隆史が霞の前に出る。
「何だお前らは?」
「警察官が一般市民に手を挙げるとはここももう終わりだな。」
「可愛いい女の娘に手を出す奴は全員俺の敵じゃ。」
ドラゴンを倒した俺は今、自身に満々ている。
警察官全員が俺と隆史に銃を向ける。
すかさず、両手を挙げる俺とは対象的にポーカーフェイスの隆史は動じない。
「一般市民だぁ?今この世界のどこに一般市民がいるんだよ?俺はなぁ、25歳で平巡査。このまま平で生きていくってそう思ってたよ。そうたらどうだ、俺の上官共はクタばってるじゃねぇか。俺は運が良いんだよ。力で制する時代になった。生まれも学歴も関係ねえ。俺の邪魔する奴は殺す。」
その格好で殺す発言はないだろう。後ろの警察官もずっと笑ってるしおい神様!世界は狂ったぞ。
「俺もゲームが始まる前は警察官を志していたが、お前のようなクズはここで抹殺した方が良さそうだな。」
へぇー、隆史、警察官目指してたんだ。初めて知った。
「魔法が使えるからって偉く、自身満々じゃねーか。俺の部下の中には魔法を無効にする魔法を持ってる奴がいるからな。その状態で、撃たれたら死ぬな確実に。いいか!本気で撃つぞ。」
隆史が手で撃ってこいと煽る。
引き金を引き、トリガーに指がかかる。
「スキル発動。」
パンッと乾いた音と共に隆史はスキルを発動させた。
鉛玉は隆史の脳天を貫いたがそれは変り身。
「何?!」
相手方が驚いているすきに俺は新しく5万ポイントで買った魔法を発動させる。
こっそり買わないと、みなみにまた何言われるかわからないからな。
マーレショット 錬金魔法によって作り出した日本刀が空気中の窒素を集め凝縮させる。錬金術によって硬度を上げた窒素を刀を振り払う勢いで前に飛ばす魔法。物体に当たると衝撃で軽く爆発する。
説明はこんな感じか。流石に5万ポイントとあって強力そうな魔法だ。
日本刀をスマホから取り出しマーレショットを発動させる。詠唱時間3秒。連続で魔法を使用する場合は詠唱時間1秒。使用魔力50。
俺の刀の周りを空気が旋回する。まるで風を纏っているかのよう。
俺はそのまま思いっきり、刀を振り下ろした。
空気砲のように出た、マーレショットは目ではっきりと確認する事ができなかった。
今尚、銃をこちらに向ける警察官にぶち当たり爆破。
ズバンッと轟音が響く。こちら側にも衝撃の風が吹き荒れる。爆破の衝撃で後ろの警察官諸共後ろに吹き飛ばす。
「凄い威力だな。あれっ?抜けねっ!」
刀は地面に突き刺さり力を入れても抜けない。まぁほっておくか。時間経てば消えるし。
「ぐはっ………」
倒れた警察官共は全員立つことさえできずにいた。
まだ、意識はあるようだ。
「シャドーストライク発動。」
後ろでは隆史が魔法を発動させていた。
隆史の影の手の部分が霞へと伸びていく。影の人差し指は見る見るうちに細くなり。手錠の鍵穴へと入って行く。
ガチャっという音と共に霞の手から手錠が外れる。
「ありがとう。別に頼んでいないけど、一応礼は言っておくわ。」
「もう少し、素直になったらどうだ。」
お互い怖い顔で睨み合うのは辞めてくれ。
「おい、隆史。あいつらどうする?」
「どうするか?あんなゴミクズ共をほって帰る訳にもいかんしな。」
スタスタスタと霞が俺らの会話を遮るように前を歩き倒れている警察官の前へ行く。
何をするかと思いきや、日本刀を取り出し一人ずつ心臓を貫いて行く。嘘だろ、まじかよ。
「おい、何してんだよ!」
「見て分からないの?ポイントに変えるのよ。これはゲームよ?この光景を見て、その言葉がでるようじゃまだ覚悟が足りないわ。」
そこはもう血の海になっていた。
霞がコチラに歩いて来るが、俺と目は合わせない。
「あのポイントは…その…あげるわ。それじゃあ………また?」
チラチラ俺の方を見ながらそう呟き、隆史を睨みつけながら通り過ぎて行く。隆史も睨み返す。
いつからそんなに仲が悪くなったんだ?
霞が何処かへ行った後に、みなみが猛ダッシュで警察官の元へ駆けつけ、ポイント変換機能を使っている。
野良犬か!お前は!
「お前何もしてねーだろおい!」
「良いじゃない!どうせチーム何だから。うわっ凄いポイント集まった。」
良かったな。