表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/31

18話

「浩二!!!大丈夫か!?」

返答はない。

隆史がドラゴンの背後から近づいて行くが、右から左へ流れた尻尾に直撃してしまい吹き飛ばされる。

家を囲む塀に凄い勢いでぶち当たる。

「おい!隆史!」

俺の声に反応しない隆史。頭から血を流し目は開いていない。気を失ったのだろう。


「大ちゃん、どうしよう!浩二が!」

みなみとゆいは、今にも溢れそうな涙を目に溜めながら近づく事さえ出来ない戦況を見つめている。


「クソったれが!!」

逃げ出したい。つか、いつもならもうとっくに逃げている。俺は何で、ドラゴンに向って走っているのか?

俺はヒーローじゃない。そんな事分かってる。

俺だけ逃げ出して、どこかに隠れて誰かがゲームクリアするのを待てばいいじゃないか。でも何でかなぁ?逃げたくない。親友と呼べるやつがいないまま、教室の隅でひっそり暮らしてた日々。今やっと、友達と友達らしい事をやるってこんなに楽しい事なんだって分かった。


俺はただ目の前の友達を守りたい。頼りにしてくれる奴を裏切って逃げるほど俺の心は強くない。俺はビビリだ。ビビリだからこそ俺は逃げない。

それに、神様に会って一言くらいガツンと文句言わないと気がすまない!


「みなみ!あのドラゴンの頭まで光の壁作れ!俺がなんとかする!」

「なんとかするって、どうするの?無茶よ!あんなドラゴン。」

みなみの目から溢れる落ちる涙。

こいつの涙見んの、小学生以来だな。泣けない病気になったと思ってたけど泣けんじゃん。

「いいから!!なんとかするって言ってんだろ!魔法を発動してらゆいと二人で離れてろ。」

「分かった。無理しないでよ!光の壁。」


綺麗にドラゴンの頭付近まで階段のように光の壁が現れる。

早く早く、そう思いながら光の壁を蹴って行く。

頼む生きていてくれよ、浩二。

ちょうどドラゴンの頭付近に到達した所で光の壁は消えていく。

足場を失った俺はドラゴンの頭目掛けて落ちていく。

スマホから日本刀を抜き出す。

「頼む刺さってくれ!!」


硬そうなドラゴンの皮膚に俺の刀の切っ先は届かずに黒いオーラに止められる。

「クソがッ!!」

それでもそのまま、強引に力を入れる。

キンッ!!

甲高い音を立てて、刀は折れた。


ドラゴンは俺の攻撃に全く怯む事なく、口に黒い炎を集める。

浩二手が、震えながら動きスマホを触る動作を見せる。

辛うじて生きていたか。

「魔法を……」

口から血を流し魔法発動のボタンを押そうとするも手からスマホは落ちる。


「じっとしてろ、浩二!!!」


とは言ったものの俺の刀じゃ歯が立ちそうにない。どうしよう。


ふと気づくとスマホが光っている事に気付いた。

『魔法解禁 新たに魔法を習得しました。 黒龍刀錬金。黒龍が放つ漆黒のオーラを分解後、炭素と錬金して刀を作成。その刀は魔法を斬り払う。』


何だこれ?ポイントで買わなくても魔法って習得できるのか?考えている時間は無かった。

俺は迷わず魔法発動をタップする。

スマホからいつものように刀の柄の部分が出てくる。

引き抜いて見ると少し重いような感じかした。

見た目はいつもの日本刀より少し黒いぐらいであとは何も変わらない。

その刀は、ドラゴンが放つ黒いオーラを吸い込み出し、刃はどんどん黒くなっていく。


試しに一払いすると、黒いオーラは逃げるように消えてドラゴンの皮膚にようやく傷を付けた。


「ギャオォォォッ!!」

暴れるドラゴンの上で必死に堪える。遥か上空へと放たれた黒き炎は宛も無く飛んでいった。

行ける!


俺は今度こそはと、切っ先をドラゴンの後頭部へ突き刺した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ