16話
なんか、俺以外のみんなの魔法が凄い強力なモノに思える。
「とにかく、ドラゴン出てきたらみんな魔力あるだけ、魔法ぶっ放せば良いんじゃない?」
作戦を立てようと言い出したみなみがもはや、作戦どころの話ではない事を言い出した。
「魔力にも限界があるんだぞ?」
「知ってるわよそんな事!それより魔力が100しかないの少な過ぎない?」
「みなみ、魔力ポイントで買えるんだよ。」
ゆいが当たり前でしょ、みたいな感じで言うが俺も知らなかった。
「常識だろ?魔力50買うのに1万ポイント必要だけどな!」
浩二も知ってたらしい。
「ちなみに、俺は50買って今は150だ。」
隆史はもう既に買ってたらしい。
「だがな、ここから更に50買うとなると倍のポイントが必要らしい。50買うごとにどんどん倍になる仕組みだ。」
「ゲームクリアして欲しいんならもっと簡単にしなさいよぉーーーーー!」
いきなり大声を張り上げるみなみ。横にいた浩二が耳を抑える。
「おい、辞めろ!近所迷惑だ。つか誰に言ってんだ?」
「近所に人なんていないじゃない。神様に決まってるでしょ。」
「おい、辞めろ。神様の文句は言うな。ペナルティとか食らったらどうすんだよ。」
「そんなんあるわけないでしょ。あんた、変態の上にビビリなの?幼馴染として恥ずかしわ。」
変態でビビりの何が悪い。俺は生きている、それだけで胸を張れる。
今日はもう疲れた。俺は男一人リビングで横になる。
女の子二人は妹のベッドで仲良く一緒に寝るんだと。
男どもは知らん。
夏の日の暑さがまとわりついた朝に目を覚ます。時計を見ると午前8時55分前を指していた。
「やべっ!寝すぎた。あれっ?みんなは?」
台所で朝ごはんを呑気に食べていた。
猛ダッシュで台所へと向かう。
「お前ら、起こせよ!」
「起こしたわよ!全然起きないんだもん。」
なんか、ゆいが俺の方をいっさい見ないのは何でだ。
「おい、大輔、服を着たらどうだ。暑いと言えど、パンツ一丁はだらしがないぞ。」
隆史の指摘に、パンツ一丁だと言うことを今気付いた。
「だって、変態なんですもん。ゆいなんかチョー引いてるよ。」
「お前は何で髪を紫にしてんだよ。」
髪をスキルで紫に変えた浩二が朝ご飯にがっついている。
「気分だよ気分。」
こんな無駄なスキルの使い方が許されて良いのだろうか。
服を着ている時にイベント開催のメールが届く。
『只今よりイベント開始します。健闘を祈ります。神だけに。 追伸 お酒飲みたい、神より』
この神様全然反省してねーぞ。
「早くドラゴン見つけに行くわよ。」
ぞろぞろと玄関へ向かう4人。
「待てよ!まだ飯食ってねぇよ!」
無視して出ていく4人。
俺、リーダーだぞ。まだ心の準備も出来ていない。
俺は、放り投げるようにしてあった食パンを咥え急いで外へ出た。
靴の踵を整えながら外へ出るとゆいのお尻にぶち当たった。俺の食パンは地面に落ちて見るも無残な姿になった。
「きゃあっ!!」
「あっ、ゴメン。いや、悪気は無いんだ、そのいきなりそんなとこで止まるから。」
4人の視線が痛い。ゆいは完全に引いている。朝から、引かれっぱなしだな。
「いや、外出たら向こうの空に黒い塊が見えたんで何かと思ってさ。」
浩二が空を指差している。
「黒い塊?カラスじゃねぇのか?うわっ?でかっ!あれ、ドラゴンじゃねぇの?」