14話
俺にまともにぶち当たっであろう炎の塊が。不思議と痛みは無かった。
真っ暗な世界に俺はいる。
「オートスキル発動。輪廻転生。耐性、幸四郎の魔法すべて。」
目を開ける。地面に横たわる感触。間違いない、生き返ってる。
周りは黒い煙が広がり何も見えない。凄い焦げ臭いニオイが当たりに広がっている。
「ちょっと。幸四郎、相手が可哀想だよ。」
「そんな事ないだろ。フハハハ。」
俺は、腕を上げてみる。
「…動く。」
起き上がっても体は何ともない。凄いな俺のスキル。
でもこれで、まじで死ねなくなってしまった。死ねば、誰かがゲームを終わらせても俺は死んだままだ。
やっと煙が、晴れて幸四郎が姿を現す。
「ん?お前生きてやがったのか!?何をした?アレだけ俺の魔法を受けて。防御系の魔法でも使ったんだな。まぁ良い。これで、あの魔法を、試せる。」
よっしゃ!驚いてやがる。これで、一矢は報いたかな。
あの魔法?更に強力な魔法を持っているのか?
「スキル発動。テレポート。」
幸四郎の姿が消えたかと思ったら俺のすぐ目の前に現れた。
幸四郎の右手が俺頭に乗っている。何してんだコイツ。
「魔法発動。人間爆弾。死ぬ前に言っとくわ。これは上級も上級の魔法だ。俺がお前に触れた時点でお前は爆弾になった。後は俺が起爆させるだけだ。」
そう言うと幸四郎は振り返りゆっくりと歩いていく。
俺が爆弾?そんな魔法があってたまるか。
「あばよ!起爆オン。」
………何も起きない。ハッタリじゃねーか。
「ん?なぜだ?なぜ爆発しない?」
スマホの起爆スイッチを連打している幸四郎。
俺はそのスキに距離を詰め、刀をスマホから抜き出し、その流れのままに刀を振り抜いた。
「………」
見事俺の刀は幸四郎の体に深く切り傷を付けた。
膝から崩れ落ちる幸四郎。
斬る瞬間に躊躇ってしまい傷は浅いと思う。
「ナツキっ!!撤収だ!」
傷口を抑えながら赤い髪の女に向かって幸四郎が叫ぶ。
とどめを刺さなければと思い刀を構えた。後は、俺の勇気が逃げない事を、祈るだけ。
ナツキと呼ばれる女と青い髪の男がこちらにスマホを向ける。
スマホからは、炎を纏った矢が俺目掛けて飛んでくる。
「うわっ、危ねっ。」
間一髪かわすが次々に飛んでくる矢に、ここは距離を置くしか手はない。
向こうのチーム3人が幸四郎に駆け寄る。
「次は殺す。お前のその憎たらしい顔は忘れねぇからな。あっ、あと俺はリーダーじゃない。リーダーはここにはいない、バーカ。じゃなあ。」
「スキル発動。ワープ。」
青い髪の女が、そう言うと、4人は消えた。
「スキルか、どこかへワープしたのか?」
俺は膝から崩れ落ちた。
「あっいた!ちょっとヤバそう!魔法発動!ディフェンスアップ。」
みなみを先頭に俺の仲間がこっちに来るのが見えてほっとした。あいつら無事だったんだ。
あれ?今魔法発動させた?
みなみが俺にスマホを向けている。
一瞬、俺の体は青い光に包まれた。
「あれ?アイツらは?」
「どっか行ったよ。それより俺に魔法うったろ?遅ぇんだよ!」
「あんたが、しんどそうだったからつい。無事なら良かった。」
本当は心配で心配で抱きつきたいんだろ?分かるよその気持ち。
「お前らも無事だったんだな。」
「大ちゃんがが転けてくれたおかげで、あの隕石みたいなのが全部大ちゃんに向かって行ったからね。こっちは全く何ともない。よくあれで無事だったね。」
「俺はもう、死んだと思ったぜ。」
「俺もだ。流石はリーダー。」
「一回死んだ。」
「えっ??」
「いや、何でもない。」