11話
「力みすぎだな。肩に力が入り過ぎてる。」
いつから、いたんだ。隆史が鋭い視線を送っている。
寝起きなのか?寝癖が一つもない。
「ビックリしたな!危うく、刀を放す所じゃないか。」
「いつから、剣士になった?」
「今日から。」
剣士ではなく侍になったつもりでいたんだが。
「そんなに、刀を真上に振り上げてもスキを作るだけだぞ。要は、相手を斬ればいいのだから。」
なるほどね。中々、良いアドバイスじゃないか。流石は生徒会長。
「言葉で言われてもあんまし、分かんねーな。こうかな?」
今度は、振り上げずに刀を持った位置からそのまま横に振ってみる。
「そんな感じだが、力を抜きすぎだ。それでは空気しか斬れんぞ。」
力入れすぎってさっき言ったじゃん。
「斬る瞬間だけ力を入れれば良い。まぁ鍛錬あるのみだな。期待してるぜ、リーダー。」
そう言うと隆史は、家へと戻って行った。
なぜ、隆史は俺なんかに期待するんだろう?
隆史がリーダーやった方がゲームクリアに貢献できると思う。
なんだかんだやっていると汗をかあてきたのでシャワーを浴びることにした。
「いや〜、刀振ってるだけでも疲れるもんだなぁ。」
あれ?水の出る音がするけど、気のせいか。
風呂に入るとみなみがシャワーを浴びていた。
「アツっ!」
「嘘でしょ!この変態!!」
「アツっ!熱い熱い。」
俺は急いで風呂を出た。ずぶ濡れじゃねーか。
みなみの裸…あんまし見えなかった。
後でどつかれるな。
リビングに行くとみんな起きていたようで、談笑していた。しばらくすると、髪をタオルで拭きながらみなみが来た。
「変態!いる?」
怒ってらっしゃる。
「おい、あれは事故だ!つかここ俺の家だぞ!」
「何が事故よ、入る前に普通気付くでしょ!」
「おい、大輔、何やったんだよ?」
「いや…何も」
「何もじゃないでしょ!ちょっと、ゆい聞いてよ。」
ゆいに話されたら終わる。全力で阻止した。
「分かった、ゲームクリアしたら、お前の願い叶えてやるから、なっ、許して。」
「ホントに?約束よ。」
まぁゲームクリアする保証なんて何処にもないけどな。
それからは、ゆいとみなみが朝ごはん、家である物で作ってくれてそれはそれは、幸せな朝のいっときを過ごした。
「よし!そろそろ行こうぜ。」
なんで、こんなにやる気があるんだ俺は。内心ビビリまくってるけどな。
昨日の敵を取るべく4人で家を出た。
「今更だけど、俺のスマホにずっと、チーム名を決めて下さいって出てるんだけど。」
「あんたそれ、早く言いなさいよ。」
パシンッと頭をみなみに叩かれる。
「イテッーな!俺の頭は早押しクイズのボタンじゃないぞ。」
「チーム名か…。んーと、イケメン軍団にしようぜ。」
お前だけじゃねぇか。
お前見たいなやつは、一人でやってろ。
「浩二お前スキル発動させただろ。髪、金になってるし。」
「気づいたか。戦いってのはまず身だしなみから入るもんだぜ。」
「ゆいは?何かある?」
浩二は無視。
「んー…第一高校ってのは?みんな第一だし。」
第一なんて世の中にはいっぱいあるだろ。それに今後、第一高校以外の仲間がチームに入るかもしれないし。
いや、それでも却下はしない。なぜなら、ゆいが美人だから。俺がリーダーとして、第一高校を日本一のチームにしよう。
「いい!それで行こう。いいだろ?みなみ。」
「まぁ、チーム名なんて何でも良いけど。」
隆史の意見は聞かずに第一高校と入力した。