10話
「今日はもう帰る?魔力無くなったやつもいるし。」
「帰ろう!もう魔力もないし。」
いや、俺が今言ったから。
「帰るにしてもチームでバラバラに動くのは危険だな。」
いちいち眼鏡越しの目付きがきついんだよ。
「じゃあさ、大ちゃんの家にみんなで行こうよ。リーダーなんだし。」
なんで俺ん家なんだよ。まあ良いけど。
俺の了承を聞く前に4人は俺の家へと向かって行った。
俺の家に俺より先に入ろうとするみなみ。
「待てって、俺の家だぞ。それに鍵開いてねーし。」
鍵を開けて中に入る。
「ただいまーっと、誰も居ないんだった。」
静かで真っ暗なリビング。取り敢えず、ここにみんなで来れて良かった。一人で来てたら寂し過ぎて泣いてたな多分。
「そういえば、ゆいって何属性なの?」
「私は風属性。みなみは?」
「風かぁー。良いなあ。私は光。」
「ええー、光の方が良いじゃん。」
楽しそうだなお二人。俺もゆい様と話がしたい。
「今思い出したんだけど、学校を破壊したやつら、明日ポイント回収にもう一度来る見たいな事を言ってたと思うんだ。」
「そうなの?じゃあ待ち伏せしてみんなの敵とろうよ。」
「よっしゃ、燃えてきた。」
「完膚無きまでに叩きすぶしてやろう。」
お前らやる気満々だけどリーダーの俺は怖いのです。
まあ各々、友達やられてやり返したい気持ちがあるんだろうが、俺はほとんど友達居なかったしな。
でも、あの屋上へと続く階段で毎日昼休み寝てたっけ。
あそこ、もう無いのか。悲しいな。
怒りが急に込み上げてきた。
「よっしゃゃゃー!!!やるぞーーー!」
いきなり大声を上げた俺の後頭部をみなみがどつく。
「うるさいっ。早くお風呂入れて。適当にご飯食べてるから。」
雑用係かっ俺は。執事かなんかなのか。給料が発生するなら余裕でやるけどな。
浩二は酒を飲んで顔が赤くなっている。
「お前、酒なんて買ったのか!つか、隆史も飲んでるし。」
「もう、この世界に法律は無いんだよ。せっかくだから楽しもうぜ。」
みんな、風呂に入り終わると死んだように眠った。
ゆいに、俺と一緒に寝るかと聞くと、真顔で断られた。
いや、冗談だからそんなに引かないで。引くぐらい引いてんじゃん。
次の日の朝、夏の日の暑苦しい太陽が出てくる前に俺は目を覚ました。
「あんまし、寝れなかったな。」
顔を洗い、庭へと出た。
俺は庭で魔法を発動させる。
まだ、この魔法しか使えないもんな。早くポイントを貯めた方が良い。
今は、鍛錬あるのみ。俺は剣の道を歩もう。俺は日本人だからな。まだ見ぬ才能が開花するかもしれない。
日本刀を取り出すと自分なりに素振りをしてみる。
「こんなに軽かったっけ?」
俺は刀を手放すまい、と握る手に力を込める。
「あっ!手、攣った!イッテー。」
攣った手を、必死に、伸ばす。俺ってこんな運動神経ないのか。