『僕らの日常シリーズ4』
四人目
『彼等の苦手な人』
先程より、少し過ぎた1年5組の教室の放課後そこでは、帰り支度をする俺達の姿があった…
ニァ~
「あっ…今黒猫が居た…」
二階の手すりずたいにわがもの顔で横切った野良の黒猫を見つめ俺がポソッと呟く…
ゾクッ…
何だろう…すげ~嫌な予感がするが…
「なあキイ…黒猫って縁起悪いとかって言わね?」
「…あんなん迷信だろ?」
迷信を信じないキイが眉間にシワを寄せヤレヤレと、ジェスチャー付きで呟く…
本当に、こいつはクールと、言うか、現実主義者と言うか…
捕捉だが、キイは基本は自分が見たものと科学的に証明されてるもの以外は信じないタイプである。
んで、学年1秀才で、まあまあイケメン…
一見、この手の男はモテるのだが、奴に浮いた話一つないのはきっとアレだろう…
「だよな~」
と、俺が自分を納得させようとしてると、少々…
イヤ…
大分痛いオリジナルのLINE音が聞こえる…
因みに原因その1である。
『LINEだよ~おにいたま~♪LINEだよ~おにいたま~♪』
一瞬ニャリと、なったキイがLINEを見る。
これは、俺達だけのグループLINE専用の着信音…
俺とアオ曰く…
『イタLINE』
俺達は、この音を聞くたびに、いつも引く…
しかも、本人はちゃっかり、一週間ごとに違うバージョンを楽しんでいる…
そう…もうお分かりだと思うが、こいつはいわゆる
『オタク』なのである。
しかもただのオタクでは無いのだが…
それは又別の話だろう…
と、俺が、LINEの着信にいささか引いてると…
キイがフリーズしたのが、判った…
「アオからの待ってろLINEか?」
俺はそう言うと、キイの肩を叩いた。
一緒に帰る事は珍しく無い俺らにとって、そのLINEも他愛の無いもの…
のはずだ…
「……」
「どうした?」
キイは、メールを見ると無言になり、そっと、そのままケータイを俺に渡した…
…何だろうか…
壮絶にやな事しか浮かばねぇが…
そこには、『すまん』のスタンプと、共にこんな文面がの
る。
「えっ?何々?『音娘コンビに遭遇』ってまさか…」
俺はそのスタンプと一文で、全てを理解し背筋がこおる…何だと~や…奴等がここにいるだと~!
『よし!』
俺達二人はメールから10秒で、アオをおいて帰る決断をした…
奴等が居る以上、俺達もただでは済まないのは明白だろう…
俺達の経験が、それを物語る。
ダッシュで教室を出るのに扉を開けるとそこには仁王立ちした、一重のくり目と黒髪のポニーテールの一見するとスレンダー美女だが、実はあたりめと週刊誌をこよなく愛する、関西育ちの為、言葉使いがチョイときつめな中身は浪花のオカンの俺ら幼なじみトリオでありアオの天敵その1…
「何が『よし!』なん?」
「音葉!…って、アオ既に捕獲されてたのか…」
栗原音葉と首根っこを捕まれ、精神的に疲れたはてた、アオがこちらを見た…
「許せ相棒…」
ほぼ諦めのアオはそれだけ言うとうなだれ、俺達も諦めた…こいつが居ると、言うことは…
「あら~おひさしぶり~アカくんキイ君」
「は…初音」
やっぱりな…
こちらは音葉の右どなりに、みため小柄な二重のくりくりな目にバッチリ睫毛に青みがかった目、肩までかかる茶色のふわふわな癖っ毛の髪の毛に色白なおっとりスローテンポなお嬢様だか実は趣味はバイクと精神統一の一環で今もやってる剣道の段もちと言う破天荒少女、藤牧初音がキイの前に姿を表しキイがおれから離れ三歩後ずさる…
因みにキイの天敵
だとすると…勿論…
「お久しぶりねアカ~」
「ほ…星音…」
こちらは、二人の後ろに立つ、背の高い肩まで伸ばしたストレートの黒髪を編み込み、二重の目に、メガネをかけた風貌は、一見すると頭の良さそうな寡黙なメガネ美女、だが怒ったらヤンキー顔負けのゲス言葉を繰り出す藤宮星音が立っていた…
因みに俺の天敵
その三人を前に俺達は今度こそ固まった…
そう…俺達はこの三人には、決して頭が上がらないのである…(特にアオとキイ)