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100 後期代表戦、始まる

晩秋の青空

訓練場に一年生達が集まっていた。


全身鎧を身に纏った代表戦出場の八名。

後期最後のお祭りイベントを観戦する制服姿の生徒達。


俺は、観戦組として開会式を見守っていた。


「ローザ、大丈夫かな?」


そばにいるルーシーが友達の心配をする。


「特訓に付き合っていたんだろ?」


ネイトが不思議そうに尋ねる。


接近戦を苦手とするローザ

そんな彼女の、剣での勝負を避けつつ、正々堂々と勝負したいという矛盾しそうな願いを叶えるために

ルーシーとナタリアはローザの特訓に付き合っていた。


「それはそうだけど、

特訓と本番は違うじゃん。

本番で上手くいくか、心配なの」


ルーシーが反論する。


ルーシーの発言から、特訓では上手くいっていた事が分かる。


「ローザを信じて応援するしかないよ」


ナタリアがルーシーを励ます。


「そう……だね」


頷くルーシー。


そして、遠くで整列しているローザに熱視線を送る二人。


俺達がいる観戦場所と選手達がいる対戦場所は、結構距離が離れている。

そのため、選手が意図して近づいて来ないと、声を掛ける事も出来ない。


受け身の状態とは、焦れったいものだ。


「どうだ、カイル?

外から見る代表戦は?」


ミックが尋ねてきた。


「気楽で良いよ。

昨日の夜もぐっすり眠れたし」


俺は笑いながら答える。


「そっか。なら、いいんだ。

もう一個、質問。

誰が優勝すると思う?」


ミックが質問を続ける。


「剣術有利だから、

ロジャーさんか、メイソンさんかな」


俺は、剣術一位と二位の名前を挙げる。


「なら、俺はダンを応援するぜ」


俺の予想を聞いたネイトが、元気よく宣言する。


ダンは剣術三位、メイソンの代わりに繰り上がって選出された平民の少年だ。

ネイトは、同じ平民のよしみで応援するのだろう。


「モニカさんの負けを願うなんて、

怖いもの知らずだな」


ネイトの迂闊さに、ちょっと引く俺。


「え?」


動きを止めるネイト。


「ダンは喜ぶと思うぜ」


ミックがネイトの肩に手を置く。


「お、おお、そうだろ。

カイル、大丈夫だよな?」


ミックへの返事もそこそこに、俺への確認を優先するネイト。


「……」


黙る俺。


「黙るなよ、カイル」


焦るネイト。


対戦相手を応援した位で、モニカがネイトを目の敵にするとは思えない。

が、もし、ダンに負けるような事があれば、

表向きは平静を装って、心の奥底で何かを育むかもしれない。


いつも勝ち気なモニカさんだ。

負けるのなんて大嫌いだろう。


剣術の実力は、ダンの方が上だ。

もしかしたら、押し負けるかもしれない。


「……」


「カイル、何か言ってくれ」


「僕が、モニカさんを応援するよ」


「それで解決する?」


不安がるネイト。


「モニカさんが勝てば解決する」


俺は真面目な顔で告げる。


ネイトが絶望顔で対戦場所を見る。


二人の選手が向き合っている。

後期代表戦のオープニングマッチ


一回戦、第一試合

学年首席 モニカ・フロー

剣術代表 ダン


ガジャ魔法学校、一年生最強を決める闘いが始まる。

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